プラスチック製の植木鉢や収納ケースで成長してきたアイリスオーヤマは、いまや売上の約半分を家電で稼ぐ。家電部門の売上高は、2010年の100億円から2025年度には1200億円へ拡大した。だが参入時、開発を担ったのは日用品と兼務する10人だけで、家電の専門家は一人もいなかった。なぜ後発メーカーが、大手のひしめく市場でヒット商品を生み出せたのか。商品開発本部の本部長で、執行役員の原英克さんに、フリージャーナリストの前屋毅さんが聞いた――。(前編)
売上の約半分を家電で稼ぐ会社になった
アイリスオーヤマの家電部門の売上高は、2010年には100億円に過ぎなかった。それが2025年度には1200億円にまで膨れあがっている。15年間で12倍である。
同社の2025年度の単体売上高は2458億円だから、その約半分を家電が稼ぎだしていることになる。プラスチック加工から始まり日用品メーカーとして知られてきた会社は、いつのまにか売上の半分を家電で立てる会社に変わっていたのだ。
この急成長を実現しているのは電球からテレビや冷蔵庫までの幅広い商品群と、次々に生みだされているヒット商品があるからだ。しかも他社製品とは一線を画す商品ばかりで、昨年10月に発売した「パパッと9分、スキマ洗濯!」が謳い文句の洗濯機「OSH fit(オッシュフィット)」も、洗浄力パワー競争が展開されている洗濯機業界のなかでは異質ともいえるコンセプトを打ち出して話題となっている。
アイリスオーヤマの歴史からいえば、家電は傍流でしかなかった。同社が世間に知られるようになったのは、1980年からホームセンターなどで売られたプラスチック製の植木鉢である。それまで主流だった素焼きの植木鉢は重いうえに壊れやすかったが、その弱点を見事に克服したのがアイリスオーヤマの植木鉢だった。
ただプラスチック製は素焼きに比べて水はけが悪いという弱点があったのだが、底に穴をあけてメッシュ加工にすることで通気性と水はけを改善することで、プラスチック園芸用品で急速にシェアを伸ばした。以後、プラスチック製の収納ケースなど次々とヒット商品を世に送り出して急成長している。


