石井氏を失った国会運営の不安
参院自民党の国対幹部は、「実は石井さんはうまくやってきた。年度内成立ができなかったといっても数日遅れだし、法案は全部通している。国会最終盤で副首都法案をギリギリで可決させたのも、土壇場で石井さんが野党幹部と話をつけたからだ。高市さんは、そんな事情はどうでもいい、自分のメンツをつぶしたから許せないというが、石井さんがいなくなったら臨時国会は簡単にいかないかもしれない」と話す。
もちろん、個人的な感情だけで人事をやるほど高市氏も甘くはない。林氏と同じように、石井氏が、反高市勢力の核になることを嫌ったのだ。
「政界の暴れん坊」と呼ばれたハマコーこと浜田幸一氏の秘書から参院議員になった石井氏は、かつての小渕派に所属、一昨年の総裁選では石破茂氏を支持した。石破内閣で官房副長官を務めた後任の青木一彦氏とも近い。その青木氏の父は、かつて参院のドンと呼ばれた青木幹雄氏だ。竹下登氏の側近として参院を束ね、あの小泉純一郎首相も青木氏の力を頼った。
いまは林氏の後ろ盾となった森山氏ももとはと言えば旧橋本派に属していた。党税調のインナーを辞任した小渕優子氏の後見人とも言われている。
高市首相がどこまで意識していたかは分からないが、「石井切り」は、今は自民党内に分散しているこうした竹下派の系譜に属する議員たちを再結集させる要因にもなり得るのである。
党内ばかり見ている余裕はあるか
「来年の総裁選に向けて、自分が有利になることばかり考えている。衆院で316議席もあって内閣支持率もまだまだ高い。党内に力を見せつけるのは今だと考えているのだろう。しかし、臨時国会が始まれば、本当の敵は、これから押し寄せる物価高だし、日本の財政に注文をつけてくるアメリカだ。自民党内の力関係ばかり気にしていると足元をすくわれかねない。こんな内弁慶で、この先乗り越えられるか心配だ」
自民党のベテラン議員はそう指摘した。
野党第一党の中道改革連合が、総選挙の大敗から8か月の混迷を経て、ついに空中分解したことも、高市氏の目を党内だけに向けさせている要因だ。国民民主党や参政党は、条件次第で与党にすり寄って来る可能性もある。野党勢力が一段とバラバラになり低迷している状況を見ていると、国会審議を気にする必要などないと考えているのかもしれない。
しかし、消費税減税の法案審議は避けて通れない。野党の追及が甘くても、財源をどう見つけるのか、減税の効果が本当にあるのか。国会審議は簡単には乗り切れないだろう。

