中国に出現「世界最大の抹茶工場」
その抹茶の一大産地が今、中国内陸部に出現している。
中国南西部の山岳地域にある貴州省の銅仁市江口県。「世界抹茶の都」を自称するこの町に2017年、大手茶企業・貴茶集団が日本などから専門家を招き、年産能力4000トンの世界最大規模の抹茶工場を建設した。
読売新聞が今年6月12日に報じた記事によると、銅仁市の抹茶生産量は2021年の400トンから2025年には2500トンへと4年で6倍超に急増し、2025年産は日本を含む54の国・地域へ輸出された。いわば「本家」への逆輸出である。※1、2
2026年の生産量は5000トンを超え、日本の2024年国内生産量(碾茶5336トン)に匹敵する量になると同市は主張する。
工場だけではない。共同通信によると、銅仁市は抹茶を地域ブランドとして打ち出して量産体制を整備し、市内には抹茶の体験施設「抹香集」も登場。欧米などに販路を広げ、「抹茶の伝統文化を持つ日本の市場にも攻勢をかける」という。※3
さらに読売新聞は、現地の製茶工場に「中国が抹茶発祥の地」とうたう看板が掲げられていると報じている。
日本企業が中国と協力して現地で抹茶生産
中国での抹茶生産には日本企業が関連するケースもある。すき家やはま寿司などの飲食チェーンを展開するゼンショーホールディングスは2018年に中国の企業と抹茶生産のプロジェクトを開始したという。プレジデントオンライン編集部の取材に広報担当者はこう回答した。
「現地の生産者に継続的に技術指導を行い、良質な抹茶を生産することで、現地の経済の活性化に寄与するとともに、ゼンショーグループのサプライチェーンの強化を行うことを目的としています。
日本の抹茶づくりの知見を活かしつつ、産地の自然環境に適した栽培指導を継続的に行うことで、風味・色味ともに高い品質を備えた抹茶の生産を実現しています。2023年より中国の一部業態にて(生産した抹茶の)導入を行っております」
こうした日本企業の“協力”もあり、中国国営メディアは「世界最大の抹茶生産国」になったと主張する。生産・観光ともに「抹茶は中国が本家」という物語を作ろうとしているのだ。いかにも中国らしい得意の国家ブランディング戦略と言えるだろう。※3

