中国外相が挙げた重点分野に鉄道はない

英公共放送のBBCは翌日、クエッタ駅で木製の棺が積み込まれる様子を伝えている。治安当局が制圧の完了を発表したのは、その夜になってのことだった。アルジャジーラによれば、乗客346人が救出された一方、乗客21人と準軍事部隊の兵士4人が死亡し、襲撃者33人は全員が殺害された。

イラン国境の町タフタンへ延びるこの区間は、ML-3と呼ばれる幹線である。ML-1とは別路線であるものの、パキスタンの鉄道が置かれた治安環境の厳しさを示す事件だった。

衝撃的な事件から5カ月後、48時間のうちに2つの出来事が起きた。

2025年8月21日、イスラマバード。香港英字紙のサウスチャイナ・モーニング・ポストによれば、中国の王毅(ワン・イー)外相はパキスタンのシャバーズ・シャリフ首相に「CPEC 2.0」の建設加速を要請した。重点分野として農業、工業、鉱業を挙げ、グワダル港や産業パーク、コネクティビティ、ハイテクでの協力推進を求めた。旗艦プロジェクトであったはずのML-1への具体的な言及はなかった。

ADBが主導する500キロの改良

パキスタンでは2021年以降、少なくとも14件に上る攻撃で中国人が狙われ、20人が殺害されている。この日の会談でも対テロ協力が俎上に載せられ、シャバーズ・シャリフ氏は中国人と中国関連事業の安全確保に「全力を尽くす」と約束した。

翌22日になるとロイターは、カラチ―ロヒ間500キロの改良事業(約3200億円)で、ADBが資金調達の主導役となる方向で協議が最終段階に近づいていると伝えた。かつて中国の事業に含まれていた、ML-1の第1段階にあたる区間である。

急ぐ理由は銅だ。世界有数の未開発の銅鉱床であるレコディク鉱山は当時、2028年に生産を始める予定で、カラチ―ロヒ間の幹線の改良が間に合わなければ銅精鉱を港へ運び出せないとされた。「我々は危機に陥る。レコディクの産出物をどうやって運び出すのか。疲弊した路線にさらに負荷がかかる」と、政府高官はロイターに語る。

銅の原石
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鉱山があるバロチスタン州はまさに、ジャアファール・エクスプレスが襲撃された地域だ。ロイターも、武装勢力の活動が続く同州に鉱山があり、武装勢力が鉄道網を頻繁に標的にしていると指摘する。