中国が嫌った「2つの資金源」

2016年の時点で中国政府は、ML-1の改修に66億7000万ドル(約1兆300億円)の拠出を約束していたが、それが実現することはなかった。

そこでパキスタンの命綱となったのが、ADBだ。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は、日米両国がいずれも15.6%の株式を保有する最大の株主だと指摘する。歴代総裁はすべて日本人が務めてきた。2025年2月には、財務省で財務官を務めた神田眞人氏が第11代総裁に就任。今年9月1日には5年の任期で再任され、2031年11月までを任期としている。

神田眞人アジア開発銀行(ADB)総裁
神田眞人アジア開発銀行(ADB)総裁(写真=神田眞人/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)

なぜパキスタンは、かつて自ら拒んだADBに今になって頭を下げているのだろうか。経緯は2017年にさかのぼる。