板橋区社会福祉協議会やNPO団体と協力して、高齢者を対象に「ジョブボラ」のマッチングサイトを運営した結果、3年間で156件の案件が掲載され、延べ204人が応募した。村山さんによると、応募者の約4割は地域活動の未経験者で、約2割は社会的孤立に該当していたという。

「孤立している人って地域活動などをやっていないから孤立しているわけで、ジョブボラに応募してくれた人の2割が社会的孤立者だと考えると、なかなか大きな数だと思います」

【図表7】ジョブボラモデルの成果

ここでふと疑問に思ったのは、タイミーなどの単発バイトとの違いだ。村山さんは「タイミーだとどんな人が来るかわからず、地域の人は嫌がる」と説明する。仕事を紹介するだけでなく、コーディネーターを通じて双方の不安を取り除く仕組みが重要だという。

さらに村山さんらは、退職前から地域との接点をつくるため、企業で働く人と地域の仕事を結ぶ「Company shed」も構想している。

家庭の外に小さなつながりを持つ

家族との関係は一様ではない。家族と話したいのに話せない人もいれば、関係を深めること自体が難しい人もいる。だからこそ、家庭の中だけで解決しようとせず、家庭の外にもつながりを持つことが選択肢になる。

村山さんは、家族が孤独を感じていることに気づいた人には、朝晩のわずかな時間でも、日常的に会話をすることが大切だと話す。一方、家族との関係をすぐに変えることが難しければ、家庭の外に目を向ける方法もある。

「近所の人といきなり訪問し合う関係になるのは不可能ですから、まずは挨拶をすることから始めたり、『これならやってみようかな』というジョブボラのような機会に応募してみたり、ステップバイステップで家庭の外での付き合いを増やしていくことが大切です」

問題は、家族と暮らしているかどうかではない。心身の健康維持に大切なのは、自分に合ったつながりを無理なく維持し、孤立を避けることだ。

村山洋史プロフィール写真

村山 洋史(むらやま・ひろし)
東京都健康長寿医療センター研究所・社会参加とヘルシーエイジング研究チーム研究部長。1979年三重県生まれ。2009年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(保健学博士)。ミシガン大学公衆衛生大学院、東京大学高齢社会総合研究機構などを経て、2020年より東京都健康長寿医療センター研究所。2012年日本公衆衛生学会奨励賞、2015年公益財団法人長寿科学振興財団長寿科学賞等、受賞歴多数。専門は、公衆衛生学、老年学。

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