ラインから「ポロッと落ちる春巻き」がヒントに
ただ、「歩留まりの悪さ」をそのまま放置するわけにはいかない。はじめて工場に入ったとき、篠崎さんはきれいに成型された春巻きが、製造ラインの途中で「ポロッ」と落ちる光景を見て衝撃を受けた。
「1時間見ていたら、1台あたり5〜6本落ちるわけですよ。なかには、ものすごくトリッキーな動きで弾かれるものもあって。でも、スタッフは50年間その機械を使っているから、それが当たり前だと思っているようでした」
毎日毎日じっと製造ラインを見つめ、ロスが出るポイントを発見しては、自ら改修した。一般的に、食品メーカーは納品された成型機をそのまま使うことが多い。しかし、スワロー食品では機械が届いた瞬間に手を加え、オリジナルの成型機に仕上げてしまう。その結果、歩留まりが劇的に向上し、利益率が改善された。
6時間パリパリを支える独自製法
さて、春巻き製造から撤退したメーカーが同社を選んだ理由は、「独立系だから」の一点だけではない。食品のプロたちの信頼を勝ち得たのは、一切妥協しない製品作りへの姿勢と、品質の高さが決め手だった。
例えば、春巻きの中に入れる具は、一般的に材料を加熱しながら混ぜる工場が多い。およそ90分間の調理が必要となるため、「煮る」という表現が適切だろう。しかし、同社では独自の直火釜製法で、中華鍋さながらに高火力で「炒めて」いる。調理時間は20分。使う野菜は冷凍品ではなく、新鮮な生野菜だ。さらに、作り方は家庭や中華料理店と同じ手順を踏んでいる。
代表的な五目春巻きの場合、まず肉を炒めたあとに火が通りにくい野菜を入れる。調味料で味付けしたら、食感を残すためにわざとこのタイミングで小松菜を投入。最後に醤油を鍋肌で焦がしながら入れたら、出来上がりだ。この作り方は、一気に材料を投入して「煮る」よりも何倍も手間がかかるが、この差が食感と味に直結している。


