「なぜ税務顧問に?」と疑問を持つ読者は多いだろう。だが、創業者は2年ほど篠崎さんの仕事ぶりを間近で見ており、絶対の信頼を置いていた。
はじめは真に受けなかったが、財務状況を熟知した上で「まだ復活できる可能性があるかもしれない」とピンときた。というのも、その頃から大手コンビニと継続的に取引しており、有力スーパーからも引き合いが来ていたからだ。大手企業を顧客に抱えながらも、なぜか数字に現れていない実情を見て、仮説を立てた。
「商品自体はいいものを持っている。ということは……問題は経営面にあるのかもしれない」
2014年12月、「あんな会社買ってどうするの……⁉」と周囲の反対と驚愕の声を耳にしながら、篠崎さんは借金6億円の企業を買収した。
大手が春巻き事業から撤退したワケ
2代目社長に就任すると、「春巻き製造がいかに繊細で、歩留まり(投入した原料に対する完成品の割合)が悪いか」を思い知らされることになった。
薄い皮で具材を巻く工程は、機械化されていても不良品が出やすい。そもそも、春巻きは大量製造に適していないことがわかった。そこで、「競合各社も春巻き部門単体では収益化できていないはずだ」と踏んだ。
それでも、総合食品メーカーはラインアップのために、製造を続けておく必要がある。「たとえ部門単体では採算が取れなくても、会社全体で帳尻を合わせればいい」と考えてきたのだろう。だが、1990年代後半以降、盛んに叫ばれた「選択と集中」の経営改革のもと、競合他社は次々と春巻き事業から撤退。これがスワロー食品にとっては追い風となった。
「大手メーカーが自社製造をやめたんですけど、やっぱりカタログのラインアップとしては持っておきたいわけです。そこでOEMの声がかかったのが、独立系専業メーカーのうちでした。ほかのNBメーカーはライバルになるので、絶対に頼めませんからね」
品質の高さから新規顧客の獲得が進んでいたところに、撤退した大手の仕事がそのまま同社に流れていった。すると、当初15%ほどだった業務用冷凍春巻きの市場シェアが、40%へと一気に拡大していくことになる。


