ゲームセンターに通った15歳が日本代表になるまで
隔世の感を禁じ得ない。
アジア大会eスポーツ競技で日本代表の最年長、澤田選手は大阪出身。1998(平成10)年、中学時代の15歳の頃、友達とゲームセンターに行き、対戦格闘ゲームのおもしろさにハマった。筆者のオンライン取材で、澤田選手はこう述懐する。
「そこから“趣味でやり続けるうちに勝てるようになって”みたいな流れです。(当時は)ゲームは遊びやからと、世間ではいいようにはみられていなかった。ゲームするぐらいだったら、勉強をやれみたいな感じでした。“たかがゲーム”みたいな言われ方をされると、やっぱり“う~ん”と思いました。自分の好きなことを“たかが”って言われると、やっぱり嫌じゃないですか」
されど、テレビゲームである。テレビゲームが生まれておよそ半世紀。ゲームを楽しむものから、技を競う『スポーツ』へ。そして2000年(平成12年)頃、その新しい競技は『eスポーツ』と呼ばれるようになった。
「ぼちぼち勝てるようになってから、熱が入ってきて、今度は“楽しい”と一緒に“負けたくない”という気持ちが出てきたんです」
就職しても、空いた時間を利用し、eスポーツはつづけた。
「家に居ながらにして、(eスポーツを)練習できるし、例えば、YouTubeやSNSからだったりで、情報も手に入れやすい。誰でも触れやすいというのはかなり魅力です。オンラインなら、家でできるっていうのは、何よりかなり強みだと思います」
2019年に仕事をやめ、プロゲーマー1本に専念した。2025年の獲得賞金は1000万円を超えた。
最年長代表が目指す「生涯プロゲーマー」
澤田選手はアジア大会で対戦格闘団体戦に出場する。
「僕にとってのおもしろさというのは、好きなキャラを好きなように動かせることです。対人戦なので、戦略とか読み合いがあったり、また年齢や性別、言葉の通じない海外の方とか関係なく、平等に競い合ったり、仲良くもできるというところですね。やっぱり大きな大会で活躍して勝てた時のうれしさって、“ああやってきてよかったな”とその都度思います」
アジア大会の目標はもちろん、金メダル。賞金はないけれど、応援してくれている人々の期待に応えたいのだった。夢は?
「やっぱり年齢に負けず、長く最前線で活躍することです。生涯現役ぐらいのつもりでやりたい。それがeスポーツのいいところでもあるので」
フィジカルスポーツのごとく、体力の衰えによる引退はなかろう。
「とくに格闘ゲームは経験とか知識とかが、かなり大きいんです。その場の反応速度は若い子に負けたりしますけど、長くやってきたからこそ、駆け引きや読み合いが重要になるんです。経験の差が出るんですよね」
部屋には、ユーモラスな“決めポーズ”をとった澤田選手の「うちわ」があった。勝負の世界に身を置きながら、どこか悠然としている。目指すのは「生涯プロゲーマー」。焦らず、飄々と――。澤田選手のeスポーツ人生は、まだまだこれからである。

