機能をオンにするだけで改札通過

JR東は顔認証だけでなく、Bluetoothやミリ波など、どの方式がウォークスルーにふさわしいか検証してきた。そんななかで「UWBが頭一つ抜け出した、ウォークスルー改札の本命です」と平井さんは力強く話す。

「UWBは位置をかなり正確に測ることができます。改札の近くにいる人なのか、実際に改札を通った人なのかを判定できる。将来的な利用イメージは、Wi-FiやBluetoothのように、スマホの機能をオンにするような感覚です。もちろん、顔認証のように顔画像を登録する必要はありません。

また、正確さは完璧を目指さなくてはいけません。仮に『認証率は99.9%です』と言っても、0.1%は誤認識するという話になってしまう。弊社には1日約1600万人のお客さまが利用していますので、0.1%だと1万6000人にもなります。一般的に高く見える99.9%という数字さえ、大きな問題につながります」

JR東日本マーケティング戦略部の平井辰徳マネージャー
筆者撮影
JR東日本マーケティング戦略部の平井辰徳マネージャー

UWBは「新宿駅の朝ラッシュもいける」

さらに乗客の私たちが気になるのは、処理のスピードだろう。現行のSuicaの処理速度は約0.2秒。前の人がほんの少し改札で引っかかっただけでも、その後ろには一瞬で列ができる。

朝の新宿駅や東京駅を思い浮かべれば、その重要性がわかるだろう。首都圏のラッシュを支えるには、「認証できる」だけでは足りない。いくらウォークスルーの改札が便利でも、処理速度が遅ければ朝ラッシュの改札が詰まってしまう。速度についてはどうなのか。

「もちろん、高速性も外せない概念です。今でもSuicaで『ピピピ』となった瞬間、後ろに列ができて気まずいことってありますよね。認証する媒体が変わったことで詰まる、ということはよろしくない。どの認証方式であっても、スムーズに流れるようにしたいと思っています。

UWBの認証スピードは、Suicaとそれほど遜色がありません。極端に遅くなったり、立ち止まることもありません」

そこで、こんな質問をぶつけてみた。「新宿駅の朝ラッシュはいけそうですか」すると、「基本的にはいけると思います」という頼もしい答えが返ってきた。

今回の取材では実際に、UWB改札の実験動画を見せてもらった。普通の速度で歩き、そのまま改札を抜けていく。映像を見る限り、現在のSuicaタッチと大きく差はないように思えた。