名目賃金は「34年4カ月ぶり」の伸び

イラン戦争や世界的な気温上昇、AI開発のための電力争奪戦なども無視できない要素だ。世界的にモノやサービスの価格は上昇している。特に、イラン戦争の長期化は、世界の原油、天然ガス、ガソリンや塗料の原料であるナフサの価格上昇につながった。

中国のレアアース輸出規制などに対応するため、供給網(サプライチェーン)の多角化に取り組む企業が増えたこともコストアップ要因になる。また、鳥インフルエンザやアフリカ豚熱など感染症も、農畜産物の生産量の減少と価格押上げ要因になっている。

食料やエネルギー資源を海外に依存する日本の輸入物価は円安によってかさ上げされている。7月の輸入物価は、前年同月比29.1%上昇と非常に高い。これは企業の原材料調達コストの増加に直結する。

国内では、人手不足で人件費が上昇している。厚生労働省の「毎月勤労統計調査(速報値)」によると、7月名目賃金(現金給与総額)は前年同月比4.7%上昇した。6カ月連続で3%以上となるのは34年4カ月ぶりとなる。実質ベースでは2.4%上昇し、7カ月続けて名目賃金の伸びがインフレ率を上回った。

【図表】日本の名目賃金と実質賃金
出典=厚生労働省「毎月勤労統計調査(速報値)

住宅ローンより先に保険の見直しを

企業は、従業員の生活を守るために賃上げを行う。また、人工知能(AI)や財務、マーケティングなどのプロ=専門人材確保のため高い給与を提示する。そうした企業は増えている。レストランチェーンの中には、バイト確保のために深夜料金を引き上げるところもある。世界的な金利上昇による収益性低下に対応するため、値上げを検討する事業者も増えつつある。

国内の物価は、これからまだ上昇するだろう。今のうちに、生活を守る準備をしておくことが大切だ。

9月上旬の時点で、国内の長期金利(新発10年物国債の利回り)は30年ぶりに3.00%を超え、変動・固定型ともに住宅ローン金利の上昇が懸念される。繰り上げ返済をするなどして、金利上昇に備えることは重要だ。

それよりも先に手を付けやすいのが保険だろう。まずは各種保険の支払い料金を確認することが大切だが、例えば自動車保険は毎年保険会社を変えることで、負担を減らせる可能性が高い。

木製ブロックのミニチュアカーを大事そうに掌に載せている
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