住民の「共同体意識」が弱体化
侵入者は、拡大する市場のなかで、獲物を虎視眈々と狙っている。
ところが、侵入される側の管理組合は、住民の「共同体意識」が弱まり、“防衛力”が衰えるばかりだ。大勢が一つ屋根の下で暮らすマンションの維持管理は、住民どうしが互いの生活を尊重しながら、ともに運営していく共同体意識を基盤にしている。維持管理の主体は、区分所有者で構成される管理組合だ。
しかし、住民の高齢化が進んで管理組合の役員(理事や監事)のなり手が減っている。
若い世代は多忙を理由に管理組合の活動を敬遠し、共同体の活力が衰える。入居時点で「管理会社にお任せ」して、ずっと安泰だと信じている人があまりに多い。
「計2万5000円」の使い方に無頓着
多くの区分所有者は、毎月、修繕積立金と管理費を合わせて平均2万5000円支出しているが、その使い方には無頓着だ。概して日本人は、税金や保険料の金額を批判する割にその使いみちへの関心が低いといわれる。そんな国民性がマンションの維持管理にも投影されているのだろうか。
住宅政策を司る国土交通省は、役員のなり手不足に対し、外部の専門家(管理会社、マンション管理士、弁護士など)が区分所有法上の「管理者」や「理事長」に就き、管理組合を運営する「外部管理者方式(第三者管理者方式)」を推している。
管理者とは、「区分所有者全員の代表者として、建物および敷地等の管理を実行する者」とされ、総会で承認された大規模修繕工事の業者の選定や、契約などを結ぶ権利と義務を負う。ほとんどの管理組合では理事長が兼務しているが、国交省は、外部の専門家に、そうした大きな権限を委ねてもよいとしている。
だが、専門家は無給のボランティアではない。頼めば費用がかかり、管理費にはね返る。
管理会社は自社のグループ会社などに工事を発注しがちで利益相反の影がつきまとう。
管理組合が外部に依存すれば、維持管理のノウハウは蓄積されず、住民の自治、共同体の意識はさらに薄れる。マンションの資産が第三者にかすめ取られてもわからず、修繕積立金の残高はどんどん減って、二進も三進もいかなくなる事態が発生している。それでも「他人任せ」の風潮は強まり、外部の利害関係者が入り込んでいるのである。
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