最終的に苦しむのは利用者と家族
これは高市首相が表彰の場で語った「働きやすい職場環境づくり」と、まったく真逆の事態を引き起こすことになるのではないでしょうか。
そして最終的に困るのは、外国人介護職員だけでも、事業者だけでもありません。
介護サービスの供給が細ってしまえば、その不足を埋めなければならなくなるのは利用者本人と家族です。
総務省統計局の2022年就業構造基本調査では、「介護をしている者は629万人、そのうち有業者は365万人」とされ、5年前に比して増加しているといいます。すでに多くの人が、仕事をしながら介護を担っている現状があるのです。
介護事業所がまわらなくなり、サービスが受けにくくなれば、家族介護の負担はさらに重くなることは自明です。
通所や訪問のサービス量が細り、入所調整が滞り、在宅の支えが弱くなれば、現役世代の介護離職も減るどころか増えるしかありません。これは福祉の問題にとどまらず、雇用と地域経済の問題、いや、わが国全体を揺るがしかねない大きな問題に直結していくのです。
必要なのは外国人への締め付けではない
急増する外国人を見て、「外国人政策」を前面に掲げる政党や政権に、一部の人は喝采するかもしれません。
しかし、今おこなわれようとしているのは、「外国人政策」ではなく、わが国の医療・介護の供給体制を根底から揺るがしかねない政策なのです。
介護の人手不足を認め、外国人材の受入れを進め、訪問系サービスにも門戸を広げ、現場の生産性向上を後押しすると一方で言いながら、同時にその人材の定着コストを引き上げる。こんな政策に整合性があると言えるでしょうか。
今、必要なのは、日本にいる外国人への締め付けではありません。日本人も外国人も関係なく、医療・介護の現場を支える人材が安心して働き続けられる制度設計なのです。
「外国人の支払う手数料なんて私には関係ない」「私には介護する人なんていないから関係ない」と今思っている人も、将来的には必ず「自分ごと」として降りかかってくる問題です。
目先の問題に目を奪われることなく、わが国の「未来予想図」をつねに思考し続ける重要性を、この問題は私たちに教えてくれているように思えます。
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