ローソンおにぎり10円値下げの背景
ローソンは9月29日から、エリア限定商品を含む手巻おにぎり全品を、商品の仕様を変えることなく原則10円値下げする。「シーチキンマヨネーズ」は181円から171円、「熟成紀州南高梅」と「北海道産日高昆布」は194円から184円、「炙り熟成紅鮭」は221円から211円となる。
値下げする理由は明快だ。米の市場価格が低下したからだ。これまで企業は、原材料費や物流費、人件費が上がったことを理由に値上げを進めてきた。消費者も、ある程度はそれを受け入れてきた。
しかし、原材料価格が下がったときはどうするのか。コストが上がれば値上げする。しかしコストが下がっても価格はそのまま。それでは消費者に不信感が残りかねない。
ローソンは米価の低下を販売価格に反映することで、「原価が下がれば価格も下げる」という姿勢を示した。しかも、おにぎりはコンビニの価格イメージを左右する代表的な商品だ。
ローソンによると、米価格の高騰などを背景に、1人1カ月当たりの精米消費量は2025年度平均で4435グラムと前年比6.1%減った。2026年6月も4518グラムで、2024年6月の4804グラムを約6%下回っている。
ローソンは今回の値下げを通じ、米の消費拡大も応援するとしている。つまり、原価低下を消費者へ還元すると同時に、価格上昇によって弱くなった需要をもう一度喚起する。これがローソンの狙いだ。
これからは「いくら安いか」ではない
マクドナルド、くら寿司、ローソン。3社の値下げの理由は同じではないが、共通するのは、消費者が価格をどう感じるかを、以前にも増して意識していることだ。
重要なのは「値ごろ感」だ。値ごろ感は単なる安さではない。100の商品をすべて10円安くする必要はない。消費者が価格をよく覚えている商品、購入頻度の高い商品、来店のきっかけになる商品を選び、価格を下げる。
そうすれば、店全体の価格イメージを変えることができる。逆に、価格への感応度が比較的低い商品や、原価上昇の著しい商品では適正な価格を取る。重要なのは、その組み合わせである。
長いデフレの時代、日本企業は「値上げできない」ことに苦しんできた。インフレ局面に入ると、今度はコスト上昇を適切に価格転嫁できる「値上げ力」が企業の競争力として評価されるようになった。それ自体は間違っていない。
適正な価格を取れなければ利益は生まれず、賃上げも投資もできない。しかし、値上げが何度も繰り返されれば、消費者にも限界がくる。そこで次に問われるのが、「価格戦略」ではないだろうか。

