「健康」とは何か
ところで、「孤立・孤独」が心身の「健康」をおびやかすリスクがあるとのことですが、ではこの「健康」とはいったいどんな状態なのでしょうか。
また、先ほど出てきた「ウェルビーイング(well-being)」はどんな意味をもつ言葉なのでしょうか。
WHOが1946年に発した世界保健機関憲章において、「健康」とは、「病気ではないとか弱っていないということではなく、身体的にも、心理的(精神的)にも、そして社会的にもすべてが満たされた良好な状態にあること」と定義されています。
この、身体+心+社会的つながりが三位一体で良好に満たされた状態こそが「ウェルビーイング(well-being)」と呼ばれているもので、幸福感や生きがいを含めた「持続的」な状態と考えられています。
このウェルビーイングを構成する3つの要素をもう少し具体的にいうと、
「身体的健康」とは、身体が健やかに機能している状態
「心理的健康」とは、ストレスが少なく、前向きで心穏やかな状態
「社会的健康」とは、社会や他者とのつながりがあり、役割や居場所がある状態
を表します。
先ほど、以前は「健康の社会的側面」が軽視されがちであったと言いましたが、孤立・孤独が身体的・心理的な健康を損なうリスクがあることが多様な研究結果から明白となったところで、あらためて健康の社会的側面がクローズアップされた形になったわけです。
ウェルビーイングと孤立・孤独の関係性
では、このウェルビーイングを構成する3つの要素、すなわち身体的・心理的・社会的健康と「孤立・孤独」はどのように関わっているのでしょうか。
まず、孤立は、「社会的健康」という点でリスクに、また、孤独感は「心理的健康」リスクになります。
そしてこの社会的健康のリスク、心理的健康のリスクのいずれも、もうひとつの「身体的健康」のリスクにつながっていくのです。
ポジティブ心理学の第一人者セリグマン博士(1942年~)は、「フラリッシュ(flourish)」という概念を提唱しています。フラリッシュとは、単なる幸福にとどまらず、「人間としての成長と繁栄」を伴う状態のことです。ウェルビーイングと共通する部分も多いですが、フラリッシュは「関係」「参加」「感情」「意味」「達成」という5つの要素を重視し、未来に向けた成長や自己実現をより強調しています。
つまり「健康である」とは、自分らしく成長し、社会とつながり、生きがいを感じられる状態をも指すのです。


