調和すれば幸福感が得られる3つの要素

3つの自己(心理的自己・外感覚的自己・内感覚的自己)は、それぞれ心理的・社会的・身体的な健康にほぼ対応しています。

ウェルビーイングとは、この3層がバランスよく機能している状態です。これらが調和することで脳内のストレスが軽減し、持続的な幸福感がもたらされることが近年明らかになっています。

【図表4】3つの自己とウェルビーイング
出典=虫明 元『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』(ディスカヴァー携書)

実は、このバランスを支えているのが、3つの神経ネットワークの相互作用です。それらが「どのように働くのか」「孤独感やウェルビーイングとどう関連するのか」をここで具体的に見ていきましょう。

・DMN(デフォルト・モード・ネットワーク):主に心理的自己に対応。内省・自己認識・他者理解など「内なる世界」の処理を担う。
・CEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク):主に外感覚的自己に対応。外界の情報を処理し、目標指向的な思考・判断・行動を制御する。
・SN(サリエンス・ネットワーク):主に内感覚的自己に対応。身体の内部感覚や感情的に重要な刺激を検知し、DMNとCENの切り替えをコントロールする「スイッチング機能」を担う。

ウェルビーイングとは、この3つのネットワークが状況に応じてバランスよく切り替わっている状態です。

人が孤独を感じるメカニズム

たとえば、過去の失敗や将来の不安にとらわれすぎると、DMNが過剰に活動し、脳疲労やストレスの原因になります。一方、マインドフルネスや瞑想で心理的自己の過剰な働きを鎮めると、SNが適切に機能して身体の内部信号を正確にキャッチできるようになります。姿勢を正したり深呼吸をするだけでも、同様の効果があります。

虫明 元『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』(ディスカヴァー携書)
虫明 元『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』(ディスカヴァー携書)

また、自然やアートに触れたり、他者と適切なつながりをもったりすることで外感覚的自己がポジティブな刺激を受けると、CENが活性化し幸福感を得ることができます。

一方、孤独感はこの3層のバランスが崩れた状態といえます。

孤立・孤独化が起こるとSNが過活動になり、些細な刺激も「社会的脅威」として検知されます。するとふだんは他者理解を支えるDMNが暴走し、自他を多角的に見つめる働きが失われます。そうすると、過去の孤立体験の反芻や将来への不安が止まらなくなり、一方でCENの働きは低下して他者からのフィードバックを適切に受け取れなくなります。

この3つのネットワークの乱れが慢性的なストレスや孤独感を引き起こし、そこから健康問題へとつながるのです。

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