20代の大卒のうち1100万人が失業
数字を見れば、その深刻さがわかる。
インド政府統計によれば、2026年6月の失業率は全体で5.5%だった。ところが15~29歳では16.2%、都市部の若者では18.2%に跳ね上がる。
(出典=インド統計・計画実施省定期労働力調査月次報, 2026年6月)
さらに深刻なのは、高学歴の若者ほど就職に苦しんでいることだ。
アジム・プレムジ大学の「インドの労働状況2026(State of Working India 2026)」によると、失業と申告した若い男性大卒者のうち、1年以内に正規の給与職を得られる割合は6.7%、ホワイトカラー職では3.7%にすぎない。大卒者の失業率は15〜25歳で約40%、25〜29歳で約20%に達し、20〜29歳の大卒者6300万人のうち約1100万人(2023年時点)が失業している。
(出典=Azim Premji University “State of Working India 2026”, 2026年3月)
「大学を出れば報われる」神話の崩壊
だからといって、「インドでは大学に行く意味がない」と結論づけるのは適切ではない。同報告でも、大卒者の賃金は非大卒者より依然として高く、教育には明らかな経済的価値があるのは確かだ。
問題は、大卒者の増加に雇用の増加が追いついていないことである。
「一生懸命勉強して学位を取れば、中流以上の暮らしに近づける」と、多くの家庭が信じて、子どもの教育に時間とカネを投じてきた。ところが、実際に大学を卒業してみても、その学歴に見合う安定した仕事の椅子が極端に少なく、多くの大卒インド人が就職に苦しむのである。
そうなれば、数少ない椅子をめぐる試験の価値は異常なほど高くなる。だからこそ、試験問題の漏洩は単なる教育行政の不祥事では済まないわけである。若者から見れば、それは「努力すれば上へ行ける」という最後に残されたルールまで壊されたことを意味する。
「ゴキブリ新党」への爆発的な支持は、大卒者を中心とする若者たちが、インド社会に対して抱える根源的な反発の表れなのである。
