妙に説得力のある秀吉の言動

「敵」の来訪に戸惑い、「正気か⁉」と問う利家に秀吉は満面の笑みを返し、持参した酒を見せる。笑いながら「まことはわしが好きであろう? 正直に申せ!」という秀吉に、利家は刀を突きつけるが、秀吉は動じず、笑みを浮かべたまま「わしはお前が好きじゃ。殺されとうもないし、殺しとうもない」と語る。

そして、たがいの家族の交流について触れ、「又左(註・利家)、わしに力を貸してくれ」と説得をはじめた。「おぬしがわれらに降れば、さすがの鬼柴田もあきらめるであろう」。そして続けた。「このまま戦となれば、わしはお市様まで討たねばならぬ」。利家は「それが嫌なら負けを認め、われらに従うことじゃ」と答えるが、秀吉はこう説き続けた。

「それではなにも変わらぬ。柴田殿は、いまあるものを守ることはできても、あたらしき世をつくることはできまい。だから、わしはやると決めたのじゃ。もうこんな世はうんざりじゃからのう」。そして、いよいよ告げた。「又左、わしは天下人になる」。