部下の質問が多くて仕事が進まない
風景②なんでもすぐ確認してくる部下に悩むマネジャー
「これで進めていいですか?」
「念のため確認してもらってもいいですか?」
Bさんは「もっと自分で考えてほしい」と思いながらも、断ることもできずに応え続けます。
なぜこうなったのか。Bさんは、部下に仕事を任せるとき、こう言っていました。
「何かあったら報告してね」
一見、問題のない言葉のようですが、その「何か」の定義が曖昧だったため、部下は「全部確認した方が安全だ」と学習してしまいました。
Bさんは「自立してほしい」と思い、部下は「自立させてもらえない」と感じている。お互いにすれ違ったまま、疲弊しています。
Bさんは「任せたつもり」でした。でも、意思決定のレベルが設計されていませんでした。
問題は、部下の自立心不足ではありません。「どこまで決めていいか」が設計されていなかったことです。
どのレベルの意思決定なら自分でできるのか。どこからは相談が必要なのか。この設計がなければ、部下は毎回「聞いた方が安全」という選択をし続けます。
その結果、意思決定がいつまでもマネジャーに戻り続け、部下に任せたはずの仕事がマネジャーの忙しさを増やしていくのです。
信頼していた部下が突然休職
風景③任せたら部下が燃え尽きてしまったマネジャー
Cさんは「信頼しているから任せる」という信念の持ち主です。部下Dさんに大きなプロジェクトを任せました。「あなたに全部お任せします」と言い、部下の意思を尊重する思いで、その後は口を出しませんでした。
でも、3カ月後、Dさんが体調を崩して休職しました。後から話を聞くと、Dさんはこう感じていたそうです。
「困っていても相談できる雰囲気ではなかった」
「全部一人でやり切らないといけないと思っていた」
Cさんは信頼して任せたつもりでしたが、Dさんにとっては「孤立させられた」と映っていたのです。
Cさんは「任せたつもり」でした。でも、任せた後の支援が設計されていませんでした。問題は、信頼しすぎたことではありません。
「任せた後にDさんをどうフォローするか」が設計されていなかったことです。
任せた後、マネジャーは何もしなくていいわけではありません。定期的に状態を確認する。困ったときに相談できる仕組みを作る。
この設計がなければ、「信頼して任せる」は「放置」と区別がつかなくなります。
その結果、問題が大きくなるまで気づけず、後になって大きな手戻りや火消しに追われ、ますます忙しくなっていきます。
3人とも、悪意はありません。むしろ、真剣にチームのことを考えていました。
Aさんは、部下と仕事を分担しようとしていた。
Bさんは、部下に自立してほしいと思っていた。
Cさんは、部下を信頼していた。
それでも、うまくいかなかった。3人とも、「任せたつもり」になっていました。
あなたはどうでしょうか。「任せたつもり」になっていませんか。

