“F1レーサー”を目指さなかったワケ

もっとも、テレビの中のF1に心を奪われる前から、小松少年は無類のバイク好きだった。高校時代はカワサキの中型バイクZ400FX(通称“フェックス”)を乗り回し、バイク店でもアルバイトをしていた。ちょっとした縁もあった。

「隣の中学とはよく喧嘩をしていました。その中学校で同学年にいたのが阿部典史、のちの『ノリック』です」

阿部はのちに、オートバイにおけるF1にあたるロードレース世界選手権(現在のMotoGPの前身)で戦う日本人ライダーになる。17歳で国内最高峰クラスの王者となり、翌1994年、18歳で鈴鹿の世界戦にスポット参戦。世界王者たちを従えて先頭を走り、残り3周で転倒するまで日本中を沸かせた。