「コロナは幸運だった」
2019年に社長に就任。その直後の2020年、コロナ禍でピンチを迎える。感染拡大防止のための自粛要請が広まるなか、ウェディング事業が主力だった鳥善は大打撃を受け、半年間で約1億円の赤字を出した。
しかし、意外なことに伊達さんは「自分にとってコロナは幸運だった」と振り返る。これまで忙しく走り抜けてきたが、コロナで一度強制的に立ち止まったことで、0から見直す時間ができた。たとえば、支出に関してどんな意味があるのか、ひとつずつ考え直した。
さらに、伊達さんは「人って、うまくいってる時はあまり成長しないんですよね」と付け加える。
「入社してからの5~6年は前職で学んだことを吐き出していただけで、成功はしていたけど、自分は成長していませんでした。人はしんどいときに考えて動くから成長するんだと思うんです。コロナになった時、自分のなかから湧き上がる事業アイデアがなにもないことに初めて気づき、非常に焦りました」
伊達さんは社外にヒントを求め、いくつかの講座に参加した。そのひとつが、浜松で開催された企業版リノベーションスクールだ。学生時代に「人の可能性を見い出すことが大事」だと感じていた伊達さんは「人の集合は街だ」と考え、まちづくりにも関心を持っていた。さまざまな業種の参加者たちと語り合い、遊休不動産の再生などのプロジェクトにも取り組んだ。
「普段とは違う世界の人と交流することは、自分にとって他流試合みたいなものでした。考え方や仕事の進め方が異なる人たちとの触れ合いは、すごく発見が多かったです」
会員企業が40社にのぼる「街食堂」
以後、伊達さんは浜松のまちづくりに積極的に関わるようになる。スクールで出会った不動産業の高林健太さん、材木店の鈴木信吾さんという別領域の仲間とともに株式会社HACKを立ち上げ、浜松市中心部にある「新川モール」の指定管理を受託して整備に着手した。
新川モールは高架下の細長く広い空間で、以前は薄暗く、あまり歩きたい雰囲気ではなかった。ここを日常的に滞在できる場所にしようと、ベンチやテーブル、コーヒースタンドを設置した。


