立て直しで過去最高の売り上げに

伊達さんは他にも手を加えた。投資できる余裕はないので、お金を使わずにできることを探す。

引き出物などの商品は、新しいものを追加するのではなく、自分たちが心からおすすめできるものだけに絞った。「この商材は鳥善だからこそ提案できるものだ」と言えるものを少しずつ増やしていった。

プールの奥に佐鳴湖
撮影=中谷秋絵
プールの奥には佐鳴湖が見渡せる。きれいな夕陽が見えるという

「結婚式という形がないものなので、ウェディングプランナー自身が『ここは本当にいいものが届けられる場所だ』と思えないと、お客様にも伝わりません。式は人生一度きりのことで、それを提供する“人”にかかっています。だから、まずはスタッフの自信を取り戻さなきゃという気持ちでした」

前職時代に店舗の開発や立て直しを経験していた伊達さん。その知見を活かしながら「気づいたら日付をまたいでいるような毎日でした」と言うほど、誰よりもがむしゃらに働いた。

その成果が表れ、伊達さんの入社以来、業績は右肩上がり。2018年には過去最高の年商14.3億円を達成した。しかし、この4年間で従業員50人中49人が会社を去ってしまった。

正しいことをやっているはずなのに…

業績は順調に上がっていた。しかし、給与など職場の環境改善に回せるまでにはどうしてもタイムラグがある。

前職で成果を上げていた伊達さんには、よくなる未来が明確に見えていた。どれくらいのスピード感でどれくらいのパフォーマンスをすればうまくいく、という実体験に基づく自信があったのだ。それを従業員にも伝えているつもりだったが、伝わり切っていなかった。

従業員にとっては、単にそれまでの2倍の仕事量を求められたように感じた人もいただろう。やることがどんどん変わり、客数が増えるという成果と同時に、負荷もかかっていた。伊達さんは、従業員から「お金の亡者だ」と陰口を言われることもあったという。

「お客様のために正しいと信じてやっていることなのに、伝わらないんだという悔しさや失望感がありました」

伊達さんは、なんとか従業員のカバーをしようと、レストランでのサービスからウェディングまで、人の1.5倍は働いた。同時にトップダウンではなくボトムアップの体制を目指した。一人ひとりがやりたいことができる環境になれば、自然とそれぞれが工夫して仕事をするだろう。そういう組織が理想的だと考えていた。

店内の写真
撮影=中谷秋絵
店内には歴史を感じさせる写真が飾ってある

去っていくメンバーがいるなかでも新規の採用は続き、伊達さんが苦しかった時期に入社したメンバーは今ではマネージャーとなり、安心して任せられる人材に育っている。