「アメリカファースト」の残酷な意味

私は、イラン戦争に最初から一貫して反対してきた。

その理由は、イランとの戦争が中東だけの問題にとどまらず、米国の軍事力と外交的関与を中東へ引き付け、日本を含むインド太平洋地域の抑止力を低下させると考えていたからだ。

しかし、当時その立場を示すと、「反トランプに転じたのか」と攻撃された。

だが、これはトランプ大統領への好き嫌いや、政治的立場の問題ではない。

米国がどこで戦い、どの地域に戦力を投入するのか。その結果、日本周辺の安全保障環境がどう変化するのかという、極めて現実的な問題である。

そして、現実は予想以上に悪い方向へ向かっている。

米空母が西太平洋から一時的に姿を消し、その一方で中国、ロシア、北朝鮮が日本周辺で軍事的圧力を強めている。

日本は「米国は必ず日本のために十分な戦力を残してくれる」と思い込んではならない。

米国には米国の国益があり、アメリカファーストとは米国の国益を最優先するという意味である。

軍事バランスは刻一刻と変わっている

だからこそ日本は、米国の関与を前提としながらも、米国の戦力が別の地域に引き付けられる可能性を織り込んで、自国の防衛体制を考えなくてはならない。

「反トランプかどうか」という政治的なレッテル貼りに終始している間にも、現実の軍事バランスは変化している。

必要なのは、誰を支持するかではない。

どの戦争が日本の安全保障にどのような影響を与えるのかを、冷静に見極めることである。

台湾有事は、南西諸島だけの問題ではない。

ロシアが北から圧力を掛け、北朝鮮が日本海側で動き、中国が南西から迫る。

そのとき米軍がどこにいるのかも分からない。

この現実を直視しない限り、日本は次の危機に備えることができないのである。

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