日本の北も南も騒がしくなっている

中東で戦争が長引けば、艦艇も航空機もミサイルも弾薬も人員も必要になる。米国の軍事力がいかに巨大であっても無限ではない。

そして今、その戦力分散が現実になっている。

問題は、そのタイミングで日本周辺の軍事情勢が急速に騒がしくなっていることだ。

6月27日、中国とロシアの爆撃機が日本周辺で共同飛行を行った。

中国軍の爆撃機とロシア軍のTu-95爆撃機などが、日本海から東シナ海、さらに四国沖の太平洋にまで長距離共同飛行を実施した。

防衛省はこれについて、「我が国に対する示威行動を明確に企図したもの」と強い表現で評価している。中露爆撃機による共同飛行はこれで10回目だった。

海上でも動きは続いている。

防衛省の公表資料を見ると、中国海軍、ロシア海軍の艦艇が日本列島周辺の海峡を相次いで通過している。対馬海峡、宮古海峡、与那国島周辺、そして宗谷海峡。

日本は中国とロシアの軍事活動に南北から挟まれている。

ひびの入った壁のロシア対ウクライナの旗
写真=iStock.com/IherPhoto
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ウクライナ侵攻前も不穏な動きがあった

さらに8月、ロシアの活動は北方で一段と活発になった。冒頭で見たプーチン大統領の択捉島上陸と、その前後の艦艇航行、情報収集機の飛行である。

個々の事象だけを見れば、「いつものロシア軍の活動」と言えるかもしれない。

しかし、問題は全体を俯瞰したときである。

プーチン大統領の択捉島上陸と、その前後に行われた大規模な軍事活動。この組み合わせを、単なる偶然として片付けてよいのだろうか。

ここで思い出すべきことがある。

2022年2月のウクライナ侵攻前、ロシアは国境周辺に大軍を集結させ、大規模な軍事演習を繰り返していた。

当時も、「本当に侵攻するはずがない」「これは外交交渉を有利にするための威嚇だ」という見方は少なくなかった。

結果はどうだったか。

演習と部隊集結は、本物の侵攻へと転化した。

だからといって、現在のロシア軍の活動を「北海道侵攻の前兆だ」と断定するのは飛躍である。

北海道はウクライナとは条件が違う。

何より日本は米国の条約同盟国だ。北海道への武力攻撃は日米安全保障条約第5条が適用され得る事態であり、ロシアは米国との全面的な軍事衝突を覚悟しなくてはならない。

また、北海道への侵攻には海峡を越えた大規模な上陸作戦が必要であり、陸続きだったウクライナ侵攻とは軍事的難易度がまったく違う。