中国、ロシアに加えて北朝鮮もいる
この見方は、私の推測にとどまらない。
防衛省防衛研究所のレポートは、中国・ロシア両国の共同の軍事行動について、連携した行動によっても、それぞれ個別の行動によっても、日本にとって懸念すべき事態をもたらす可能性を指摘し、それはロシアが西側の対応を鈍らせるために用いる「恐怖カード」の一環ともいえる、としている。
さらに、緊張が高まった際に別の戦域で連携した軍事行動が起こることも、想定すべき事態として挙げられている。
同レポートの指摘から、日本が北で足を止められるという展開は、すでに専門的な分析の射程に入っていると読み取ることができる。
問題は「秘密協定が存在するか」ではなく、現実の軍事行動が日本にどのような効果を与えるかなのである。
ここで忘れてはならない存在が北朝鮮だ。
8月12日、北朝鮮は弾道ミサイルを発射した。さらに8月20日にも複数発を発射している(防衛省・内閣官房「北朝鮮のミサイル等関連情報」2026年8月12日、20日)。
防衛省は北朝鮮について、日本を射程に収める弾道ミサイルに核弾頭を搭載する能力を保有するとみられるとしており、その軍事動向を「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」と評価している。
しかも北朝鮮はロシアのウクライナ侵攻を支援し、弾道ミサイルなどを供与し、兵士まで派遣している。この2カ国の軍事協力は、もはや象徴的な外交関係のレベルを超えている。
3カ国の危うい関係がリスクを高めている
すると日本が直面する構図はこうなる。
北=ロシア。
北西=北朝鮮。
南西=中国。
三方面である。
もちろん、中国、ロシア、北朝鮮が一枚岩の軍事同盟を形成していると主張するつもりはない。
先ほどから紹介している防衛省防衛研究所のレポートは、3カ国のダイナミズムがこれまでのところ二国間関係を基礎に展開されており、三者関係が形成されているわけではないと分析している。中国はロシア・北朝鮮の軍事協力から距離を置こうとしており、朝鮮半島の非核化をめぐっても中国・ロシア、中国・北朝鮮の間に不一致がある。
そのうえで同レポートは、連携と非連携、求心力と遠心力を同時に抱えたこの不均衡なパートナーシップこそが、インド太平洋の安全保障環境の不確実性を高めていると結論づけている。
