軍事力と情報能力が弱体化した結果
習の粛清は、人民解放軍の戦闘力だけでなく、自分たちの戦闘力を正確に測り、問題を最高指導部へ伝える能力まで削っている。「軍事力の弱体化」と「情報能力の弱体化」という「二重の弱体化」が重なったとき、最も恐ろしいことが起こる。
それは、弱い軍を、強い軍だと最高指導者が信じ込むことである。実際、2025年秋に釜山で開催された米中首脳会談後、中国の政策決定層や共産党直属の研究機関の間では、「中国はついにアメリカと対等な大国になった」「アメリカの圧力に屈せず、逆に実利的な譲歩を引き出した」などの過剰な自己評価が国内では蔓延している。
正しい情報が上がらなくなった結果、習個人にとどまらず「アメリカに肩を並べた」「自分たちは強い」というセルフイメージが中国国内で形成されつつあり、ナルシズムが肥大化している状態にあると考えられる(詳しくは、プレジデントオンライン「習近平『われわれはトランプを屈服させ、高市を懲らしめた』…中国が突き進む『危険なナルシスト国家』の末路」を参照のこと)。
台湾問題において最悪のシナリオは、人民解放軍が弱体化しているのにもかかわらず、習自身がその現実を把握できずに有事に突入しかねないことだ。その結果、泥沼の戦争に入り込めば甚大な被害が出ることになる。

