「2027年までに」という目標と現実

習近平は人民解放軍に対し、「2027年までに台湾侵攻を実行できる能力を整える」ことを求めてきた。2027年は人民解放軍創設100周年にあたる。これに対し張は、2027年という時期に軍事的な準備を整えることは現実的ではないという趣旨の意見を述べたとされる。

台湾への大規模上陸作戦が容易でないことは明らかだ。台湾海峡を越えて大部隊を送り込み、制空権と制海権を確保しながら上陸させ、その後も継続的に補給を続けなければならない。しかも、米軍が介入する可能性まで考慮する必要がある。

さらに張は、ロケット軍をはじめとする人民解放軍内部の腐敗や装備上の問題を知り得る立場にあった。政治が求めるスケジュールと、軍事的に可能なスケジュールとの間に大きな隔たりがあると考えていたとしても不思議ではない。

問題は、こうした軍事的な異論が、習近平にどう受け取られるかである。

2027年という目標は習自身が掲げたものだ。その実現可能性を否定することが、単なる軍事上の意見ではなく最高指導者への異議とみなされれば、軍人は現実をそのまま報告できなくなる。

夕暮れの五星紅旗とミサイルのシルエット
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米メディアが暴いた「水ミサイル」の衝撃

1959年、毛沢東が進めた大躍進政策の問題を彭徳懐国防相が指摘したところ、彭は廬山会議で失脚した。その後、毛に政策の失敗を率直に伝えることは困難になり、現場からは実態とかけ離れた報告が積み上がった。

組織にとって危険なのは、政策を間違えること以上に、間違いを指摘する人間がいなくなることである。現在の人民解放軍にも、同じ構造が生まれつつある。

人民解放軍内部の深刻な問題を象徴するのが、いわゆる「水ミサイル問題」である。

米ブルームバーグは2024年、人民解放軍内部の腐敗によって、ミサイルに使われる燃料の代わりに水が入れられていたケースや、ミサイルサイロの蓋が正常に機能しないなどの問題があったと報じた

問題は、一部の兵器が使えなかったことだけではない。より深刻なのは、人民解放軍自身が兵器の実際の稼働能力を正確に把握できているのか、疑問が生じていることである。