中国は名目GDPでアメリカに次ぐ世界2位に位置している。評論家の白川司さんは「中国国内では、アメリカと対等な大国になったと自己評価しているようだが、このように実力を過大評価する国家ほど危険だ」という――。
2026年3月5日、江蘇省代表団の討議に参加した習近平氏。習近平中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席は5日午後、自らが所属する第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議江蘇省代表団の討議に参加した。(北京=新華社配信/盛佳鵬)
高市発言に中国が猛反発した理由
2025年11月7日の衆議院予算委員会で、高市早苗首相が台湾有事に対する「存立危機事態」の適用可能性について改めて言及した際、中国当局はこれまでにない激しさで反発したが、その後も、現在に至るまで日本に対して厳しく当たり続けている。
高市答弁は、従来の安保法制の枠組みを再確認したに過ぎないものであったが、中国政府が示した反応は、単なる外交的プロトコルを超えた「過剰反応」であった。
なぜ、日本が自国の法的枠組みをなぞっただけの言葉に、中国はこれほどまでに神経を尖らせ、過剰に反応したのだろうか。その背景には、中国が抱く「アメリカを譲歩させた」という万能感と、その裏側に張り付いたある種の「焦燥感」が複雑に絡み合っている。
中国はいま、自らの姿を誤って認識し始めている。その結果、客観的な実力以上に自らを万能と信じる「危険なナルシスト国家」になりつつあるというのが私の意見である。
「米中雪解け」は事実なのか?
緊張が極限まで高まっていた米中関係は、2025年秋、韓国・釜山で開催された首脳会談によって、表面上は劇的な「雪解け」を演出した。
アメリカは対中関税の大幅な引き上げを見送り、中国はレアアース輸出制限の解除やアメリカ産農産物の輸入再開を表明した。金融市場はこの「ディール」に安堵し、世界の株式市場も一時的に落ち着きを取り戻したかに見えた。しかし、この出来事を単なる外交成果として祝うのは、あまりに近視眼的だ。
本当に注視すべきは、合意文書の中身ではない。中国側がこの結果をどのように自己解釈したかである。

