「ソフトパワー」で圧倒するアメリカ
中国の「対等論」がいかに脆い幻想であるかは、国際政治の構造を見れば明白だ。
アメリカが保持しているのは、単なる軍事力や経済力といった「ハードパワー」だけではない。ソフトパワーのうち国際社会を動かす「制度的パワー(Institutional Power)」の差が、中国と比べようがないほど大きいのである。
アメリカには、約60カ国に及ぶ同盟・安全保障パートナーが存在する。世界の基軸通貨としてのドル、世界トップクラスの知が集積する大学群、そして世界最大の金融市場。これらは国際秩序そのものを支えるインフラであり、アメリカはこのゲームの「ルールメーカー」であり続けている。
それに対して、中国のパートナーはロシア、イラン、北朝鮮などの独裁国家や強権国家だ。これらは価値観を共有する同盟ではなく、共通の敵を持ち孤立を深めている者同士が一時的に手を結んだ「便宜的連携」にすぎない。いわば「ならず者国家連携」だろう。
中国は巨大な経済規模を持ちながら、国際政治の構造の中では依然として「孤独な大国」だと言ってよい。
また、軍事面においても同じことが言える。
中国は急速に軍備を拡張しており、海軍の艦艇数は世界最大規模になった。しかし、中国の軍事優位が成立するのは主に台湾海峡周辺などの近海、いわゆる「第一列島線」の内側に限られる。
中国は特定の海域における「地域軍事大国」ではあっても、全世界にパワーを投影できる「グローバル覇権国」ではない。グローバルな展開力、潜水艦の静粛性、サイバー・宇宙領域の総合力、そして何より実戦経験において、アメリカの優位は揺らいでいない。
総合力での格差を無視した「対等論」は、客観性を欠いた誇大妄想である。
中国の少子化問題は日本より深刻
さらに中国を苦しめるのは、外敵ではなく自らの内側に潜む構造的な時限爆弾だ。最も深刻なのは、いかなる強権政治でも変えることのできない「人口動態」である。
中国の出生率はすでに1.0前後まで低下した。これは少子化が深刻な日本を下回る水準である。ここで浮上するのが「未富先老(豊かになる前に、高齢化してしまう)」という過酷な現実だ。
日本が直面した高齢化は、国民所得が十分に向上した「先進国」としての悩みだった。しかし中国は、1人当たりGDPがまだ発展途上の段階で、巨大な扶養コストを背負い込むことになる。
これに不動産バブルの崩壊、地方政府の巨額債務(隠れ債務問題)、そして若年層の記録的な失業率が重なる。中国の成長モデルは明らかに転換点に差しかかっており、この「内なる腐食」を前にして、対外的な強気は虚勢に近いものとなっている。
