「1日1万歩」に科学的根拠はない

健康のためには「1日1万歩」歩かないといけない。血糖値が高いから、この歩数を目指して運動することが大切だ。このように思っている人はいないだろうか。じつは、この切りのいい目標には科学的な根拠はない。

公園でスマートフォンで毎日の歩数カウンターをチェックする男性
写真=iStock.com/MaskaRad
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よく知られるようになったきっかけは、1960年代に日本で販売された「万歩計」。

このネーミングがとても秀逸で、頭に残りやすかったことから広まったとされている。ただ、国も「1日1万歩」運動を推し進めたことがあり、2000年に厚生労働省による国民健康づくり運動「健康日本21」のなかで提唱されていた。

しかし、2024年からはじまった第3次の「健康日本21」では「成人は1日8000歩」、高齢者は「1日6000歩」という少なめの歩数が推奨されている。健康効果はこれくらい歩けば十分。頑張って1万歩をクリアしても、上乗せされる効果はあまり期待できず、逆に関節やひざを傷める危険性が高まるとわかってきた。このため、8000歩、あるいは6000歩を目指すのがいいという考え方だ。

日常に「+2000~2500歩」を意識する

ちょっとわかりにくいのは、この数字は通勤や買い物といった、日常の歩きを含めた1日のトータルということだ。きちんと歩数を測定しないと、日常の歩数プラス、どれほどのウォーキングが必要なのかつかめない。その意味から、血糖値が気になる人は、世界保健機関(WHO)のガイドラインのほうが参考にしやすいのではないか。

週に150分以上の中強度の有酸素運動をすれば、生活習慣病のリスクを減らせるという指針だ。ウォーキングでいえば、約1万5000~1万8000歩。1日当たりでは2000歩余り~2500歩ほどになる。時間で換算すれば、およそ20~30分のウォーキングをプラスするといいわけだ。連続して行うのが難しければ、こま切れでもOK。

朝食前に10分、ランチ後に10分、帰宅後に10分といったような歩き方でかまわない。長らく運動不足の人は、徐々に体をならしながら、無理せず取り組んでみよう。

歩くのは最も手軽で、誰にでもできて、健康効果の高い運動だ。しかし、簡単過ぎるのでやる気が薄れて、なかなか続けられない人もいるようだ。そんな飽きっぽい人におすすめなのが、歩数計やスマホのアプリを使って、1日の歩数を「見える化」することだ。