便秘を改善するには、何をすればいいのか。東京都健康長寿医療センター研究所部門長の青栁幸利さんは「便秘のリスクは、歩く習慣と毎日の食生活を組み合わせることで大きく下げられる可能性がある」という――。(第4回)

※本稿は、青栁幸利『すべての病気が防げる長生き歩き』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

朝食ヨーグルト
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

健康のためには「善玉菌>悪玉菌」

腸内細菌という言葉をよく耳にします。知っている人も多いと思いますが、簡単に説明しましょう。私たちの腸には、およそ1000種類、100兆個もの腸内細菌が生息しているとされています。

腸内細菌は健康によい働きをする善玉菌と、たくさんあると体によくない働きをする悪玉菌に大きく分けられ、腸内で勢力争いをしています。そして、悪玉菌を減らし、善玉菌が優勢な腸内環境にすることが、健康によい効果をもたらすとされています。どんな腸内細菌をもっているかによって、私たちの体にさまざまな変化が起こることが知られています。

たとえば、マラソンランナーは速く走るための腸内細菌をもっています。ボストンマラソンの上位入賞者の腸内細菌を調べたところ、ほとんどのランナーにベイロネラ菌という腸内細菌がいることがわかりました。なぜベイロネラ菌をもっているランナーは速く走れるのでしょうか。その鍵を握るのは乳酸という物質です。かつて乳酸は疲労物質の1つだといわれていました。

普通の人でも、長く歩いたりすると足が疲れますね。疲れたときには筋肉に乳酸がたまっています。そのため、乳酸は疲労物質だといわれていました。しかし現在、乳酸は代謝産物の1つにすぎないことがわかっています。

便秘が引き起こす肌荒れや病気のリスク

乳酸菌という腸内細菌がつくるのも乳酸です。マラソンのような激しい運動をすると、乳酸がさかんにつくられますが、その乳酸をベイロネラ菌は脂肪酸の1つであるプロピオン酸に変換します。プロピオン酸はエネルギー源となるので、この菌をもっているランナーは速く走れるのです。

走る若い女性
写真=iStock.com/b-bee
※写真はイメージです

みなさんは「腸活」をしていますか? 腸活とは腸内環境を整える活動のことで、ここ数年は腸活ブームになっています。腸活で一番わかりやすいのは、便秘の改善でしょう。便秘はさまざまな原因で起こりますが、腸内環境の悪化もその1つです。

便秘はおなかがスッキリしないといった不調だけでなく、肌荒れの原因になったりします。また日本人に一番多い大腸がんも、慢性的な便秘が発症リスクを高めることがわかっています。最近は、腸内細菌が健康にいろんな形で影響することが、一般の人たちにも知られるようになってきました。たとえば、腸内環境と免疫との関係です。

腸内には全身の免疫細胞の約70%が集中しているとされていて、腸内環境を整えると免疫力が高まることもさまざまな研究でわかってきました。免疫力を高めると、新型コロナやインフルエンザなどのウイルスに感染しにくくなるばかりか、がんの予防にもなります。