主力と重なりやすいポジション
主力打者とポジションが重なることも考えられるため、チームによっては「使いづらい」選手にもなる。「汎用性のなさ」が低い評価につながったといえる。
もともと一塁手は指名されにくいポジションだ。今季のMLBドラフトでは613人が指名されたが、一塁手は14人だけ。佐々木の指名順位は一塁手では4番目だった。
佐々木のマネジメント会社によると、7月20日(日本時間21日)にマーリンズの本拠地で身体検査を受けた後、正式契約を結び、新人選手が参加するキャンプへ合流した。最初の所属先はルーキーリーグのフロリダコンプレックスリーグ・マーリンズ(FCLマーリンズ)で、プロの環境に順応していると判断された場合は1A(ジュピター・ハンマーヘッズ)へと昇格し、ほぼ同世代の選手の中で頭角を現すことが求められる。
9月末のマイナーのシーズン終了後は有望若手らによる秋季リーグに参加。そして2027年の春季キャンプから、事実上のプロ1年目がスタートする。2、3年でメジャー昇格の目もあるが、成績次第では降格もある。またマイナー選手でもトレードの対象にもなる。
野球以外のキャリア
2013年、アメリカの高校からドラフト2巡目、全体66位でヤンキースに入団した加藤豪将は、俊敏な内野手としておおいに期待されたが、メジャー初昇格は10年目の2022年。しかも、わずか8試合で戦力外になり、最後は日本ハムでキャリアを終えた。
率直に言って佐々木がMLBで活躍する可能性はそれほど高くない。それでもMLBを選んだのは「野球以外のキャリア」も考えてのことだろう。
アメリカの大学は、プロスポーツに挑戦した選手を退学ではなく休学扱いにし、復学を認めている。野球を断念したとしても佐々木はスタンフォード大に戻って勉学を再開し、キャリアを獲得して新たな分野に挑戦することができる。
NPBに入ってしまえば、セカンドキャリアは球団職員、野球指導者、野球解説者などに限られる。その後の選択肢が大きく違うのだ。
今年のMLBドラフトでは佐々木のほかに、ジョージア大の石川ケニーがレッズから13巡目(全体389位)で指名され、入団した。投手と外野手の二刀流を武器に、2025年のNPBドラフトではオリックスから6位指名を受けているが、佐々木と同じくメジャーリーガーになる夢を選んだ。
筆者はこの夏、日本の高校野球選手で、アメリカの大学に進む若者を何人か取材した。アメリカの大学は、野球だけでなく勉強でも成績を残すことが求められるため、非常にハードだが、その後の選択肢が全く異なっている。競争が厳しい分、可能性も大きい。
佐々木らが示した「MLB選択」は、日本の有望なアマチュア選手たちの本格的な「人材流出」のターニングポイントになる気がして止まない。


