MLB8巡目の厳しい現実

2010年から2026年まで、MLBドラフトで「8巡目」で指名された選手は480人いる(2020年ドラフトは5巡目で打ち切られたので指名なし)。このうちまだ「出世前」の2023年以降を除いた2010年から2022年までの8巡目指名選手360人のうち、メジャーに昇格したのは21.9%の79人と、5人に1人ほどだ。

ちなみにこの時期、ドラフト1巡目で指名された選手は1巡目補欠の選手も含め565人いたが、このうち74.9%の423人がメジャーに昇格している。この「差」は非常に大きいといえるだろう。

ただ、8巡目で入団してチームの主力になった選手もいる。2011年8巡目(全体264位)でレンジャーズに入団したカイル・ヘンドリクスはマイナー時代にカブスへと移籍。昨年、エンゼルスで引退するまで通算105勝を挙げるエースになった。

野手では、2023年WBCで侍ジャパンのリードオフマンとして活躍したラーズ・ヌートバーが2018年8巡目(全体243位)でカージナルスに入団。俊足強打の外野手として活躍している。

なぜ下位指名だったのか

佐々木は6月、「MLBドラフト・コンバイン」に参加している。これはMLBドラフト会議の直前に、全米、世界から選抜された数百人のドラフト候補選手による公式の合同トライアウトだ。

佐々木はここで、最高打球速度115.4マイル(約185.7キロ)を叩き出している。これは今季のMLBデータで言えば、全体17位に相当する。大谷翔平が114.6マイル(約184.4キロ)、村上宗隆が114.1マイル(約183.6キロ)、鈴木誠也は112.9マイル(約181.7キロ)だから、すさまじい打球速度だといえる。打撃のポテンシャルの高さは、ドラフト候補選手で屈指だと言えよう。

ではなぜもっと上位で指名されなかったのか。それは「一塁しか守ることができない」という守備面の制約によるものだ。身長184センチ、体重120キロの体型では、俊敏な動きが求められる遊撃、二塁、三塁を守るのは厳しい。外野手の可能性もあるが、現実的には一塁手かDHということになる。守備での貢献が大きく期待できない分、いきなり「中軸打者クラス」の打撃が求められるのだ。