DeNAの思惑
スタンフォード大野球部は、NCAA(全米大学体育協会)のディビジョン1に所属。2026年5月に2年目のシーズンを終え、ソフトバンクとの入団交渉は解禁となったが、MLBドラフトで指名されてメジャーリーガーになる道を目指したのだ。
スタンフォード大は89名ものノーベル賞受賞者を生んだ一方で、MLB殿堂入りを果たした270勝の大投手マイク・ムッシーナ(ヤンキース)をはじめ100人を超えるメジャーリーガーをも輩出している。
佐々木のアメリカ志向、MLB志向は強固なものがあると思えたが、ソフトバンクとDeNAは敢えて佐々木をドラフト1位指名した。この2球団にはどんな思惑があったのだろうか。
DeNAの場合、意図は明確だ。セ・リーグは2027年からDH制を導入することが決まっている。長距離打者の佐々木は、まさにDHにうってつけだ。さらに横須賀市内に構えるトレーニング施設「DOCK」で、精鋭のトレーナーやアナリストからデータ面を用いたサポートを受けることができる。
ポスティングを認めないソフトバンク
またDeNAは過去に、筒香嘉智(レイズードジャースーパイレーツ、現DeNA)、今永昇太(カブス)と2人のスター選手がポスティングシステム(入札制度)でMLBに移籍している。佐々木もDeNAで経験と実績を積み、数年でMLBにポスティング移籍することが可能だ。DeNAが佐々木との交渉権を獲得していれば、そういうプレゼンテーションをしたはずだ。
しかしソフトバンクの場合、思惑は全く違ったはずだ。まず原則として、ソフトバンクはポスティングでのMLB移籍を認めていない。MLBに移籍するには海外FA権を取得する必要がある。エースだった千賀滉大(メッツ)は毎年のようにポスティングでのMLB移籍を球団に求めたが、結局移籍したのは12年目のシーズン途中に取得した海外FA権を行使してからだった。
海外FA権取得は145日以上のNPB1軍登録が9シーズンに到達することが条件とされている。今年4月に21歳となった佐々木は、少なくとも20代でのMLB挑戦はかなわないことになる。もともとMLB志向が強く、そのためにスタンフォード大に入った佐々木にとっては、到底受け入れられない条件だったはずだ。

