どうにも笑えない社長の“笑い話”

電通には、24時間365日の売り場面積が限られている広告枠を、電通の資本や人脈で買い切り、それに付加価値をつけて売る力はある。いっぽう、インターネットの世界は、メディアが無限に誕生し、新陳代謝していく。

そのため、テレビであれば、その価値を電通がさらに高くしてクライアントに買ってもらうことができていたが、ネットでは、電通が大金を投じたメディアが、すぐになくなってしまう、ということもある。

こんな笑い話がある。電通の役員が「ネットというメディアが来ました」といったら、当時の社長が「買い切れ」といったという。上層部はネット媒体もテレビ番組のような「買い切り」で通用すると大いなる誤解を抱いていた。

藤沢も、この話を聞いて、電通には無理だなと思った。

今までのような「絶対的なガリバー」ではいられない時代がやってくるであろう。電通という巨大広告代理店のモデルは、20世紀で終わったのかもしれない。

旧電通本社ビル
丹下健三氏の設計による旧電通本社ビル(電通築地ビル)(画像=Archs/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

電通よ、知的ガリバーに生まれ変われ

それでも、電通には有能な社員がいる。その人たちが、本気になって頭脳で勝負をしていけば、勝てるはずだ。まだまだ力はある。

本来、知的労働ができる人たちがそろっているにもかかわらず、超体育会系の体質が組織に染み込み、肉体労働的な風土が根付いてしまった。そんな仕事の仕方は今後、通用しなくなるであろう。

広告代理店業界の勢力図をみれば、営業力で仕事をとってきた電通が圧倒的トップとして君臨しているが、それとは相対してクリエイティブな頭脳を重視して仕事をとってきた博報堂を忘れてはいけない。知的労働の分野で能力を磨き続けている博報堂には、この時代の転換期にマッチし、逆転できるチャンスが到来しているともいえる。

だからこそ、電通は早急に古い体質から脱却して、本来の知的ガリバーとして生まれ変わるべきなのだ。

藤沢は、社内に残った人材が抜本的改革をして、電通を生まれ変わらせて欲しい、と強く期待している。

【関連記事】
新大阪駅から15分なのに巨大廃墟がそびえる…「消えた終着駅」が映し出す昭和のニュータウンの栄枯盛衰
「年金だけで暮らす人」は定年前に手放している…大掃除で捨てるべき"老後のお金を食い潰す"無駄なもの2つ【2025年12月BEST】
異民族に3000人の皇族が連れ去られ、収容所送りに…「戦利品」になった女性皇族たちがたどった悲惨な結末
ギャンブルでも、旅行でも、美術品収集でもない…和田秀樹が手を出すなという「世の中で一番金のかかる趣味」
MARCH卒、年収900万円なのに結婚できない理由が詰まっていた…仲人がぴしゃりと叱った婚活男性(36)の一言