サムスンを歓迎する日本企業の余裕
市場規模の予測も、AI関連投資がより一層拡大するという見通しと整合する。eeニュース・ヨーロッパが伝えた調査会社モルドール・インテリジェンスの推計では、AIサーバー向けを含む低電圧MLCC市場は2026年の約190億ドル(約3兆1000億円。7月23日現在のレート、1ドル163.06円で換算、以下同)から2031年には約422億ドル(約6兆8800億円)へ倍以上に拡大する見込みだ。
モルドール・インテリジェンスは年平均成長率が約17%に達すると予測しており、コンデンサーや抵抗器などのいわゆる「受動部品」としては突出した伸び率である。
太陽誘電の佐瀬氏はブルームバーグの取材で、こうも明かしている。
「この分野にプレイヤーが2社しかおらず、しかもこれほどの需要量になると、2社ともきつい。こういった製品を供給する3社目がいてくれれば、私の精神衛生にとってもありがたいのですが」
佐瀬克也 太陽誘電社長(2023年6月下旬就任) 太陽誘電入社(1986)、執行役員 電子部品事業本部コンデンサ事業部事業部長(2013年)、取締役専務執行役員 経営企画、新事業推進担当 経営企画本部本部長(2021年6月) [同社提供]
世界のAIインフラに不可欠な、高性能なMLCC。量産の実績で世界に知られる企業は、現時点で実質2社しかない。エヌビディアのGPUの安定稼働にも、米粒より小さなこうした受動部品が欠かせない。
ブルームバーグは2026年5月下旬、東京市場における各社株価の急騰を報じた。太陽誘電の株価は約12%上昇し、過去最高値を更新。年初来の上昇率は300%を超えた。村田製作所も過去最高値を更新し、自動車向けコンデンサーに強いTDKにまで買いが波及したことで、電子部品大手3社がそろって過去最高値を更新した。
AIインフラの拡大を支える、米粒大の受動部品。その供給各社に静かな注目が集まっている。


