「今年も来年も非常に逼迫する」

MLCCの需給バランスが逼迫したことで、部品価格は上昇傾向にある。

サウスチャイナ・モーニングポストが報じるように、村田製作所は2026年度の設備投資2500億円のうち800億円をサーバー向けMLCC増産に充てる計画だ。

一方、既存工場の稼働率はすでに95%近くに達している。出雲に新設された工場も、トレンドフォースの見通しでは2027年まで本格稼働しない。

村田製作所の最先端MLCCへの引き合い数は、すでに生産能力の2倍に達している。同社の中島規巨社長は、ブルームバーグのインタビューで、「顧客が求める数量は、まったく不可能なレベルです」と語った。需要予測がどこまで実発注につながるかは見極めが要るとしつつも、先端品の供給は、「今年も来年も非常に逼迫する」との見通しを示している。

ブルームバーグは今年2月、村田製作所が最先端MLCCの値上げについて社内協議を始めたと報じている。また、太陽誘電も値上げに動いた。欧州エレクトロニクス専門誌のeeニュース・ヨーロッパによると、同社は業界に先駆けて4月に低容量の民生用・車載用MLCCの価格を6〜13%引き上げている。

ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、若杉政寛氏は、村田製作所がMLCC市場全体で40%超、AIサーバー向け先端品では最大約70%のシェアを占めると分析する。値上げ検討が報じられた当日、同社株は6.9%高で引けた。

長岡京市東神足1丁目の村田製作所本社
長岡京市東神足1丁目の村田製作所本社(写真=J o/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

韓国から「唯一の代替先」が参入

こうした中、韓国サムスン電機がAIサーバー向け先端MLCCの量産に加わった。同社は先端品以外を含むMLCC製品全般において、世界シェアの20〜25%を占める。

コリア・ヘラルドは今年1月、平均販売単価がIT向けの2〜3倍に達するAI向け先端MLCCにおいて、シェアで首位の村田製作所に続き、サムスンが唯一、「現実的な代替調達先」になり得るとの見方を報じた。

実際、トレンドフォースによると、同社は今年3月、村田に約3カ月遅れて先端MLCCの量産体制に入っている。

にもかかわらず、逼迫は相変わらず長期化するとの見方が広がっている。

サウスチャイナ・モーニングポストによると、ゴールドマン・サックスは今回のAI主導の需要サイクルを、MLCC市場史上「最大かつ最長」と評した。同社はこのサイクルがまだ初期段階にあり、ピークはこれからだと分析する。

MLCCの世界市場をリードする村田製作所も、同様の認識を示している。米ブルームバーグの2026年2月の報道では、チップメーカーやデータセンター事業者の開発ロードマップを直接把握する立場にある同社の社長が、AI関連投資は少なくとも今後3〜5年、拡大のペースがさらに上がるとの見通しを示している。