出遅れトヨタの2つの「大逆転シナリオ」

ただし、のんびりしているわけにはいきません。2026年には中東危機によるガソリン高を受けて、欧米でEV人気が復活する兆しがあり、先行きは予断を許しません。はたしてトヨタは、あらためてEVが次世代車として重要になるまでに、世界トップクラスの技術を開発していくことができるのか、注目したいところです。

次世代自動車で、トヨタが大逆転して世界トップに躍り出ることは可能でしょうか? 大逆転のシナリオとしては、2つの可能性があります。

①燃料電池車(水素エネルギー車)が世界標準となれば、トヨタに勝機がある。
②全固体電池EVの実用化にトヨタがいち早く成功すれば、EVでの勢力図が変わる。

トヨタは、燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の開発実用化で世界トップを走っています。燃料電池車(水素エネルギー車)が次世代自動車となれば、トヨタに非常に有利です。ただし、そうなる可能性は低いと思われます。

水素を使う燃料電池車は、コンパクトに大量のエネルギーを搭載できるので、大きなパワーが必要とされる大型トラックやバスには最適であるため、次世代トラック・バスとしては有望です。

テスラとBYDに勝つための切り札

窪田真之『「超」成長株の見つけ方』(幻冬舎新書)
窪田真之『「超」成長株の見つけ方』(幻冬舎新書)

それでは、トヨタはEVで米国テスラや中国BYDに近づくことはできるでしょうか。命運を分けるのは、「電池」です。いかに高性能の車載用リチウムイオン電池を安価に調達するかが鍵です。車載用電池では、中国がいち早く大量生産による低コスト化を実現しています。

そのため、現状では電池生産で中国勢より低コストを実現するのは困難です。トヨタが電池でリードするためには、EV用全固体電池の実用化をいち早く実現する必要があります。EVの致命的欠陥として充電時間の長いことがありますが、全固体電池になると、ガソリン車のように3〜5分くらいの短時間でフル充電できるようになります。

全固体電池は高価格になるので、実用化されても販売が急拡大するとは思えません。それでも、長い年月をかけながら、通常のEVから全固体電池EVへのシフトが続くと考えられます。

BYD車
写真=iStock.com/LewisTsePuiLung
※写真はイメージです

(初公開日:2026年6月5日)

【関連記事】
新大阪駅から15分なのに巨大廃墟がそびえる…「消えた終着駅」が映し出す昭和のニュータウンの栄枯盛衰
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
「スキマ時間にメール返信する人」は仕事がデキない…キーエンスの営業部隊が組織的に実践する"時間ハック"
「日本円の紙くず化」へのカウントダウンが始まった…高市首相が狙う「借金1342兆円を帳消しにする」禁断の処方箋
バフェットも「現金は危険だ」と警告した…オルカンでもS&P500でもない、インフレ時こそ強さを発揮する「資産」