まずは「疲れの種類」の診断をしよう

大切なのは、「いま自分は、どこが疲れているのか」を知ることです。病院で、原因を調べずにいきなり治療を始めないのと同じように、疲労の回復もまた、見立てから始まります。

頭が回らない人に必要なのは、気合ではありません。脳の負荷を下げる工夫です。

首・肩・背中が重い人に必要なのは、ただ長く寝ることだけではありません。体のこわばりをゆるめる方法です。

不安やイライラが続く人に必要なのは、予定を詰め込む気分転換ではありません。自律神経を安心モードに戻す道筋です。

図表2に今の疲労が「脳」「メンタル」「身体」のどこからくる疲れなのかを簡単に見分けるためのチェックリストを作りました。自覚する疲れの症状から、自分の負担が3要素のうちどこに多くたまっているのかを見極めてみましょう。
 

【図表2】「疲れの種類」診断
図版=『科学的に認められた 疲労回復大全』(実務教育出版)をもとに編集部が作成

「休むこと」にも余力が必要

これまで産業医として、体調やメンタルのバランスを崩した多くのビジネスパーソンとの面談で向き合ってきました。

書影
岩見 謙太朗『ハーバード、ペンシルベニア、スタンフォード… 科学的に認められた 疲労回復大全』(実務教育出版)

面談の現場で、疲労を軽視してメンタルや体を崩してしまったビジネスマンを何度も目にしてきました。

最初は、少し眠りにくくなる。朝起きても疲れが抜けない。いつもよりイライラする。このような些細な不調から始まります。

それでも、多くの人はこう考えます。

「忙しい時期だから仕方ない」
「自分が弱いだけだ」
「今は休めない」

そして、走り続けてしまう。

やがて、心や体が限界を超えます。出社しようとしても体が動かない。涙が止まらない。眠れないのに、何もする気力が湧かない。その結果、休職に追い込まれてしまう方もいます。

そんな方々の多くが、あとからこう言います。

「もっと早く休めばよかった……」

でも、その時にはすでに、自然治癒力とも言うべき“休む力”そのものが落ちていることがあります。

心身ともに疲れきった人は、疲労から回復することすら難しくなります。眠ろうとしても眠れない。休日に何をしていいかわからない。休んでいるはずなのに、頭の中では仕事のことを考え続けてしまう。