疲れの3種類

この本では、疲れを「脳の疲労」「体の疲労」「メンタルの疲労」の3つに分けて考えます。

「脳の疲労」とは、集中力や判断力が落ち、ミスが増え、頭が回らなくなる状態です。長時間の会議、メールやチャットへの対応、資料作成、マルチタスクが続くと、脳は少しずつガス欠を起こしていきます。

「体の疲労」とは、倦怠感、だるさ、筋肉の張り、首・肩・背中の重さなどとして表れる状態です。現代人の体の疲れは、激しく動いたことよりも、長く座り続け、同じ姿勢で固まり続けることから生まれやすくなっています。

「メンタルの疲労」とは、意欲の低下、イライラ、不安、ストレスの蓄積として表れる状態です。人間関係、プレッシャー、将来への不安、責任の重さが続くと、心は安全モードに戻れなくなります。

疲れ切ったオフィスワーカー
写真=iStock.com/Happy Kikky
※写真はイメージです

疲れは複合的

ここで大切なのは、この3つの疲労が、バラバラに存在しているわけではないということです。

脳が疲れると、集中力や判断力が落ちます。するとミスが増え、仕事が進まなくなり、自分を責めるようになります。そうなると、メンタルにも負担がかかります。

メンタルが疲れると、夜になっても緊張がほぐれません。眠りが浅くなり、翌朝も疲れが残ります。すると、体はだるくなり、動き出すのがおっくうになります。体がこわばると、呼吸が浅くなり、血流も悪くなります。首や肩が重いまま仕事をすると、頭も働きにくくなります。頭が回らないと仕事の効率が落ち、さらに時間に追われ、また休めなくなります。

つまり、疲れは一要素だけの問題ではないのです。

脳、体、メンタルが互いに影響し合いながら、総合的なパフォーマンスを下げていく。これが、「休んでも疲れが取れない」人の中で起きている悪循環です。

【図表1】総合的なパフォーマンス低下のサイクル
図版=『科学的に認められた 疲労回復大全』(実務教育出版)より

図表1は、この悪循環を表したものです。

疲れは、輪っかのようにつながっています。ですから、「寝れば治る」「気分転換すれば大丈夫」「体を休めれば戻る」といった一つの方法だけでは、うまく回復しないことがあります。