あの「経営の神様」も熱心に崇敬
猿田彦大神の熱心な信奉者は思った以上に多そうです。といっても、熱心な崇敬者は以前からいらっしゃいました。その代表的人物を挙げるならば、何といっても現パナソニックの創業者で“経営の神様”松下幸之助(1894~1989)でしょう。
松下幸之助は、先に挙げた椿大神社の崇敬者として知られています。昭和30年代の高度経済成長期、みずから創業した会社(松下電器産業)の経営者として未知なる事態に次々と直面し、孤独な決断を迫られる日々のなか、猿田彦大神の道開きの御神徳を知り、椿大神社に足を運ぶようになったといわれています。
そんななか、彼にとっての「道ひらき」や「道」という言葉は、単に迷ったときに進路を占うといった意味を超え、「自分にしか歩めない唯一無二の人生を、覚悟を持って歩み続ける」彼の人生哲学へと昇華されていきます。
不朽の名著として今も読み継がれている松下幸之助の著書、『道をひらく』(PHP研究所)には、こんなことが書かれています。
「逆境もよし、順境もよし。要はその与えられた境遇を素直に生き抜くことである」
「五里霧中」という言葉があります。深い霧の中で方角がわからなくなるように、物事の判断がつかず、どうしてよいか迷ってしまう状態を指す言葉です。そんなとき、道を明るく照らしてくれる案内人がいたらどれだけ心強いでしょうか。
最善を尽くし、自ら一歩を踏み出す
ただし、松下幸之助が猿田彦大神との縁を深めていくなかで気づいたのは、どこかにある正解を探し求めることではなく、自らの足で一歩を踏み出すことそのものでした。今できる最善を尽くして一歩進むことで、次の景色(進路)が見えてくる。結果、「道が開かれていく」。そんな境地だったともいえるでしょう。
猿田彦大神を「推しの神仏」として心にとどめる意味はここにあります。不確実な未来へ踏み出すにあたって、大神は道の分岐点に立っていてくれる。そこで選択した道を照らしてくれる。猿田彦大神を意識することで、そんなマインドセット(心構え)を得ることできます。
そしてもし選択に迷ったときは、「この八衢で、大神ならどちらの可能性を照らしてくれるか」を冷静に問い直すことができ、どんな小さな一歩も、踏み出すことで「ここから自分の道ひらきがはじまった」と心強く思えることでしょう。力強い眼光をもつ「推し神」は、周囲からの邪気を跳ね返し、常にあなたの「道」の伴走者として見守ってくれるはずです。

