自分の重みを活かせない姿勢はNG

いかがでしょうか。Xさんは驚くほど簡単に、バランスを崩して後方に動いてしまうはずです。これはXさんの体格の問題ではなく、体に力みが生じて不自然な姿勢になっていたからに他なりません。

体に余分な力みが生じていると、外からのわずかな力に対しても柔軟に対応できず、脆さが露呈してしまいます。

たとえば、重量60キログラムの安定した箱を想像してみてください。この箱が、軽く押しただけで動くことはまずありません。同じ体重の人間が簡単に動いてしまうのは、その姿勢が自らの重みを活かせていない、不安定な状態である証しだと言えるでしょう。

それでは、安定した立ち方とは、一体どのような姿勢を指すのでしょうか。これも実際に体を動かして確かめてみましょう。

氣のテスト②「安定した姿勢を確かめる」

1.Xさんはその場で、軽く足踏みをします。足踏みの仕方を細かく気にする必要はありません。腕を振って数秒ほど足踏みを続け、最も足踏みしやすいと感じる足幅を確認します。

2.その足幅のまま、次に、Xさんはつま先立ちをします。このとき、できるだけ足先に余計な力を入れずに行うことがポイントです。もしふらついてしまう場合は、何度か繰り返すか、あるいは壁にそっと手で触れて支えても構いません。

3.Xさんがつま先立ちをしている姿勢を、Yさんが横から目視で確認します。もし上半身が後ろに反っているようであれば、Xさんの背中に優しく触れて、反りのない位置へと直します。

4.つま先立ちの状態で姿勢が安定したら、Xさんはかかとを静かに下ろします。体に衝撃を与えないよう、そっと着地することが大切です。

5.最後に、YさんはXさんの胸の上部あたりに手のひらを置き、先ほどの【氣のテスト①】と同じ強さで、真っ直ぐ静かに押してみます。Xさんは無理に抵抗しようとせず、そのままの状態で立っています。

姿勢が整えば自分の力を最大限に引き出せる

いかがでしょうか。今度はXさんの姿勢が、まるで大地に根を張ったかのように盤石になっているはずです。これこそが、人間が本来持っている、自然にバランスが取れた姿勢なのです。

裸足で立つ若い女性
写真=iStock.com/FotoDuets
※写真はイメージです

あまりの安定感に、Xさんは「本当に同じ力で押している?」と、Yさんの力を疑いたくなるかもしれません。それほどまでに、外部からの力を受けない感覚があるはずです。

ここでは、決して筋力で踏ん張っているのではありません。体に余分な力みがなく、頭から足先まで「全身が一つの状態」になったことにより、意識せずとも自然に安定した姿勢が保たれているのです。

何事においても、土台が定まらなければ、持っている力を十分に発揮することはできません。姿勢が整うことで、私たちは初めて、自身の持てる力を最大限に引き出すことが可能になるのです。