逃げ道は「4カ国のパスポート」

しかし、カンボジア社会で上り詰めた陳容疑者には、裏の顔があった。複合企業の会長として不動産や金融を手がける一方、その事業を隠れ蓑に、もう一つの「帝国」を築いていたのだ。

米司法省の起訴状によれば、プリンス・グループは表向きは不動産開発・金融サービス・消費者サービスを標榜する巨大企業で、30カ国以上で数十の事業体を展開していた。

だが水面下では、陳容疑者と側近らがこれをアジア最大級の国際犯罪組織へと成長させていたとされる。カンボジア各地に築いた詐欺コンパウンドでは、人身売買で連れてこられた労働者が暴力の脅しのもとで暗号資産詐欺を強いられていた。