AI時代に求められる世界標準のスキルとは何か。作家でプリンストン日本語学校高等部ディレクターの冷泉彰彦さんは「今後は管理者の管理方法と管理の範囲はさらに拡大する。日本の大学や高校でそのためのスキルを鍛える機会がないが、アメリカの名門大学群であるアイビー・リーグ校の入試や入学後の時間割などでは求めていることがわかる」という――。

※本稿は、冷泉彰彦『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

アメリカ北東部にある8つの名門私立大学の総称「アイビー・リーグ」の旗
アメリカ北東部にある8つの名門私立大学の総称「アイビー・リーグ」の旗(写真=Kenneth C. Zirkel/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

自己管理能力は「マルチタスク処理」に表れる

アメリカの大学は受験生のスポーツ歴やアートの活動履歴を重視します。それは、同時に個々の人材の実行力を見るためです。

これからのAI時代は、最高ランクの知性を持つ「第1グループ」と呼ぶべき人材だけでなく、十分な知性と実行力でAIを使う側に回る「第2グループ」が大切になってきます。その「第2グループ」に期待される「実行力」こそ、現在のアメリカの大学が重視しているスキルそのものです。

ヨーロッパでも、またアジアでもそうですが、アメリカでは、大学は「社会に有為な人材」を送り出すところだという意識は特に強いと感じられます。

そのために、ビジネスの世界や行政の世界でサクセスしそうな「潜在能力」が重視されるのです。そこには、学力も入ってくるし、コミュニケーション能力やリーダーシップの経験といったものも入ってくるでしょう。

ただ、アメリカの大学が受験生に期待している「潜在能力」というのは、そうした漠然とした人物像だけではありません。もっと具体的な問題として、「自己管理能力」があります。

この「自己管理能力」ですが、宿題の締め切りに遅れないとか、この「大学の願書締め切り」に願書一式を「間に合わせる」というような、「締切厳守」という点がひとつあります。ですが、それだけではありません。

もっと大きな概念として、「同時並行的に多くのプロジェクトを進行させ、それぞれについて期日までに成果を出す」という能力、つまり「マルチタスク管理能力」とでもいうものを、アメリカの大学は非常に重視しています。