「同時進行的に何をやっているのか」の例
どうして成績とテストの点数だけでなく、スポーツや課外活動の成果を求めるのかというのも、実はこの点に理由があります。
たとえば、進学実績の高い学区の公立高校に通っている12年生(高校4年生。日本の高3と同じく最高学年です)で、名門大学に出願すべく「目いっぱいのスケジュールを入れている」ような場合、11月の大学出願時点で「同時進行的に何をやっているのか?」のモデルケースを考えてみましょう。
① 高校では主要な科目は11年生(日本の高2相当)までに修了しているものの、依然として「多変数微積分」「AP統計学」「APアメリカ政治」など宿題の多い科目を履修。テストの直前には相当に勉強しなくてはならない(ちなみに「AP」とは、高校生向けに提供される、大学レベルの初級コースのこと)。
② 選択科目として「オーケストラ」を取ってチェロを弾き、「学校に3つあるうちの最高ランクである代表オーケストラのトップ」を務める。同時に学校のオーケストラの幹事役として、資金集めの企画も担当。
③ その「チェロの腕前」が落ちないように、週に1回、専門家の指導を受けている。
④ 学校外の「州南部高校生の代表オーケストラ」の楽員にもなっていて、コンサートへ向けて定期的な練習に参加している。
⑤ スポーツはサッカー部に入っていて、学校の代表選手。練習は月曜から金曜の放課後に2時間、土曜の午前中にも3時間。秋はシーズンなので、2カ月半のシーズン中に約10回の遠征試合と、5回のトーナメント戦があり、アウェーの場合は、帰宅は午後8時から9時。
⑥ そのほかに、週末には「語学学校通い」もしくは「定期的に病院やEMS(救急隊)でボランティア」。
おおよそこんな感じでしょうか。
「忙しい日常」できちんと成果を出せるか
この中で④は、ごく一部の「音楽エリート」の生徒しか関係がないのですが、音楽エリートと言っても、たとえば音楽専攻でプロのチェリストを目指すというのは少数派で、ほとんどは名門大学への出願を意識してやっていることになります。
ここで大切なのは、とにかく全体の活動が多岐にわたっていて、しかもそれぞれに個別のスケジュールが決められているということです。
日々の授業で好成績を維持するには、日々の宿題をきちんと提出し、小テストで高得点を取り、中間テストや期末テストでもよい点数を取らなければなりません。そのために、そうした学期のスケジュールに合わせて、自分の生活も管理していかなければならないのです。
音楽も同様で、「チェロのトップ」とか「州南部の代表オーケストラのメンバー」という「地位」を維持するには、それぞれのシーズンの終盤に設定された「オーディション」を勝ち抜かなければなりません。ですから「オーディション」に向けて課題曲を練習し、そのためには個人レッスンに通いつつ、日々の練習を欠かすことはできないのです。
特にスポーツは、所定の練習に出るだけでなく、コーチに指示された自主練習や走り込みなどを――特に高学年になれば、ほかのメンバーを引っ張るようなリーダーシップを発揮しつつ行わなければなりません。さらにそこに学校外の勉強やボランティア活動などが乗っかってくるのです。
そうした「忙しい日常」できちんと成果を出しつつ、その上で、大学出願のためにSAT(大学進学希望者を対象とした全米共通の標準学力テスト)などでしっかり高得点を出し、高水準のエッセイ(作文・自己紹介文)を期日までに仕上げなくてはなりません。

