AI時代にますます求められる資質

このマルチタスク処理スキルというのは、現在でもビジネスの世界では重要なスキルです。

日本の場合も管理職、あるいはその前の段階から厳しく問われるスキルでもあります。それを、大学や高校の時点で鍛える機会がないというのは、ある意味で学生がかわいそうだとも言えます。

日本の伝統的な紙と鉛筆による一発勝負の大学受験というのは、完全なシングルタスクの処理になっているからです。

冷泉彰彦『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)
冷泉彰彦『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)

このマルチタスク処理ですが、AI時代になる中では、人間に求められる資質としてますます重視されるようになると考えられます。もちろんAIも、シングルタスクの処理から、処理のための手段を自動的に選択して実行する2階層のAIエージェントに進化しつつあります。

この先に、階層はもっと増えるでしょう。ですが、そのような時代に生きていく人間は、「大枠だけを指示して、細かいことはAIに丸投げ」ということにはならないと思います。

たとえば英語圏の多くの経営者は、数階層下のレベルから、重要な社内メールは「CC」に入れさせて、決定に関与したり、進行中の案件の把握をしたりします。

AI技術が進むにつれて、その内容の重要性をAIに振り分けてもらうようなことは起きるかもしれません。

管理方法と管理の範囲は拡大する

ですが、そうしたサポートが機能するようなら、管理者の管理方法と管理の範囲は、現在よりさらに拡大するに違いありません。このマルチタスク管理スキルというのは、21世紀においては、加速度的に重要になると見ておいたほうがよさそうです。

そう考えると、18歳の時点で「マルチタスク処理能力」を厳しく問うということ、これに応えるために、その練習をもっと早期に始めるというのは、とても大切になるのです。

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