EVメーカーは6年で487社→130社に激減

給与未払い、生産停止、アプリの停止。Netaで起きた事業崩壊のシナリオは、中国EV業界でこれまで何度も繰り返されてきた。

その原型ともいえるのが、レスト・オブ・ワールドが報じたWM Motor(威馬汽車)の事例である。上海を拠点に格安EVで人気を集めた同社は、2023年10月に破産を申請した。その直後、オーナーがスマートフォンのアプリを開くと、ログインできなくなっていた。ドアの遠隔ロックも、エアコンの操作も、走行距離や充電状況の確認も、一切動作しない。

中国の自動車レビューサイト「12365auto」には、「車のシステムが麻痺してログインできない。エンターテインメントシステム全体が使えず、車両の状態も確認できない」「車が巨大な安全上の脅威になった」との苦情が相次いだ。

2024年12月には、百度(バイドゥ)出資のEVブランド「極越(ジーユエ)」も、同じ道を辿り始めていた。パンデイリーによると、夏一平CEOは社内メッセージで、「困難に直面しており、直ちに調整が必要」と認めた。5000人超いた従業員は、大幅に縮小。アフターサービス部門に残るのは約80人で、元の4分の1にすぎない。

2024年12月13日に広州で撮影された「極越」のショールーム
2024年12月13日に広州で撮影された「極越」のショールーム(写真=Tim Wu/CC BY-SA 4.0/Wikimedia Commons

レスト・オブ・ワールドによると、2018年に487社あった中国のEVメーカーは、2024年時点で約130社にまで減った。アリックスパートナーズの予測では、2030年までに生き残るブランドは15社に満たない。「決勝戦」どころか、まだまだ予選の様相だ。

「BYDに次ぐ2位」だったEVメーカーの末路

中国EV業界で広がる混乱に、海外の消費者も巻き込まれ始めた。Netaにとって最大の海外市場であるタイも、その例外ではない。

タイの実業家チャイチャーン氏は2024年1月、入念に調査を重ねた末、NetaのEVを54万9000バーツ(約266万8000円。7月7日現在のレート、1バーツ4.86円で換算)で購入した。ところが間もなく、交換部品は入荷のめどが立たないと告げられた。近隣のサービスセンターも閉鎖。親会社・合衆新能源汽車の破産手続きを知った同氏は、やむなく返金申請に踏み切ったと、レスト・オブ・ワールドは伝えている。

「まさかこんなことになるとは。中国ではベストセラーの一台だったのに」と同氏は振り返る。

Netaは2022年にタイに参入し、翌年にはBYDに次ぐEV販売2位に躍り出た。だが同社はあっという間に転落した。タイ各紙によれば、2024年末には現地スタッフ数百人が解雇され、60あったショールームのうち20が閉鎖された。レスト・オブ・ワールドが引くタイ国営放送NBTワールドのデータによると、2025年1〜5月の販売台数はわずか1256台にとどまり、前年同期比で43%の減少となった。