一瞬のあいさつで会話のハードルを下げる
これが、「いらっしゃいませ」と「こんにちは」の大きな違いです。
「いらっしゃいませ」と言われても返事に困ります。困るから返事をしません。「ただいま」と「おかえり」「ありがとう」と「どういたしまして」のような対になるあいさつとは異なり、「いらっしゃいませ」と対になるあいさつがないのです。
どうしても「いらっしゃいませ」は、一方通行のあいさつになってしまいます。一方通行では会話にならないのです。
「こんにちは」に対しては、「こんにちは」と返ってきますので、双方向の会話になります。たった5文字ですが、言葉を交わした間柄になれます。そのあとの会話のハードルがぐっと下がるのです。
あいさつ1つを取っても、会話をするための工夫があります。テーマパークの場合、来園するゲストが1日数万人に対して、スタッフは千人単位です。
ゲスト一人ひとりの多くの時間を過ごせるわけではありません。だからこそ、あいさつという一瞬を工夫するのです。
わずか2%ほどの細かい差異に気づけるか
ただし、ゲストから情報や要望を引き出して提案するだけでは、沼るファン作りには不十分です。ただのファンを沼るファンへと変えるための鍵は、「気づき」です。
では沼るファンを生むためには、どれぐらいのレベルの気づきが必要なのでしょうか。
言語化すると、「この人は私だけに関心がある」と勘違いさせるぐらいのレベルです。それぐらいの特別感で気づいてあげることが求められるのです。
そのレベルを数値化すると、2%になります。わずか2%ほどの細かい差異に気づくことが目標となります。
2%しか違わない微差に気づくのは容易ではありません。微差は文字どおり、微かな差ですから。だからこそゲストは「こんなところまで見てくれているんだ」と感じ入るのです。
しかし1回の気づきでは、沼るレベルには到達しません。単なる偶然かもしれませんし、1回だけのことだと人はすぐに忘れてしまうからです。重要なのは、何度も気づくことです。

