※本稿は、橘玲『プアジャパン インフレ世界を生き抜く資本戦略』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
京都のホテルは1泊60万円に…
桜のシーズンに京都に出張することになった知り合いが、「泊まれるホテルがない」と嘆いていました。ふつうのビジネスホテルでも1泊5万円、一流ホテルだと1泊30万円するというのです。
そんなことがあるのかと思って調べてみると、もっとも高いのは祇園四条駅に近い外資系の高級ホテルで、ツインの朝食付きの部屋で1泊60万円でした。
それより驚いたのは、ジュニアスイートや温泉付きのスイートなど、さらに高い部屋がすべて満室になっていたことです。
6000万人のミリオネアがいる「残酷な世界」
スイスのプライベートバンクUBSの『グローバル・ウェルス・レポート』は毎年、世界の富裕層の動向を発表していますが、その2025年版によると、株式や不動産などの資産から負債を除いた純資産で100万米ドル(約1億6000万円)を超えるミリオネアは世界で6000万人います。
そのうちアメリカは2380万人と4割を占め、中国630万人、フランス290万人、日本270万人と続きます(図表1)。アメリカでは人口の約7%に相当し、ミリオネアの全員が世帯主だとして概算すると、なんと5世帯に1世帯が「億万長者」です。
近年の大きな特徴は、純資産100万ドルから500万ドルのEMILLIs(Everyday MILLIonaires=「平凡なミリオネア」)と名づけられた層が大きく増えたことで、世界で5200万人います。いまやミリオネアは富裕層というより、社会階層では「中流の上」に位置するのです。
なお日本のミリオネアは、コロナ前の2020年のレポートでは約370万人(3位)だったので、この5年で大きく人数を減らしています。円安によってミリオネアのハードルが上がったからでしょうが、それでも概算で20世帯に1世帯が億万長者です。
日本でも欧米でも「貧困」が大きな社会問題になっていますが、この世界のもうひとつのリアルは、使い切れないほどの富をもち、1泊数十万円のホテルに泊まることをなんとも思わない富裕層がものすごい勢いで増えていることです。




