発表から3日後に停止を命じられる
同時に、安全対策を一部調整した「クロード・ミュトス5」も発表した。こちらは少数の「サイバー防御に携わる組織やインフラ事業者」向けに限定的に提供された。
しかし、華々しい発表からわずか3日後、トランプ政権が両モデルの停止を命じた。
トランプ政権とアンソロピックの対立は今回が初めてではない。今年2月にアンソロピックは自社のAIモデルの軍事利用をめぐり、国防総省と激しく対立した。アンソロピックは自社モデルが、自律型兵器や米国内での監視に利用されないことを求めた。
これに対し、ピート・ヘグセス国防長官は最後通牒を突き付けた。米軍にアンソロピックの技術への全面的なアクセスを認めるか、それとも国家安全保障上の「サプライチェーンのリスク」に指定されるか。この指定を受ければ、アンソロピックは国防総省と取引する企業にサービスを提供できなくなる。
交渉は決裂し、ヘグセスは「サプライチェーンのリスク」に指定。アンソロピックは政府を提訴した。訴訟が続いている最中に、新たな対立に突入したのだ。
ヘグセスは6月13日にX(旧ツイッター)への投稿で、「3カ月前、(国防総省は)アンソロピックを永久に締め出した。日を追うごとに、それが正しい判断だったことが証明されている」と述べた。
特定の国だけを輸出規制の対象外にはしない
アンソロピックとトランプ政権の対立は、既にぎくしゃくしている米欧関係にも新たな緊張をもたらしている。欧州各国は最先端のアメリカ製AIモデルを引き続き利用できるように、米政府に例外措置を求めている。
6月15~17日にフランスのエビアンで開催されたG7サミットに合わせて、欧州の外交当局者がハワード・ラトニック米商務長官と協議し、「信頼できるパートナー」として最先端AIモデルへのアクセスを認めるように求めた。
しかし、米政権当局者はニューヨーク・ポスト紙に、同盟国であっても特定の国だけを輸出規制の対象外にすることは「全く筋が通らない」と語っている。
カナダのマーク・カーニー首相はG7前に訪問したアイルランドで、今回の輸出規制が、アメリカの技術に世界が過度に依存する危うさを浮き彫りにしていると警告した。
「ミュトスやフェイブルをめぐる今回の問題は、誰かが間違ったことをしたわけではない。しかし、私たちがこの出来事を黙って受け入れ、教訓を学ばず、供給者の多様化を進めなければ、それは私たちの過ちになる」


